苦雪のブログ

本やゲーム・映画についての感想を備忘録代わりに時折書きます。基本敬称略。

このブログについて

  

はじめに

 

 このブログは、本とかゲームとか映画とかについて長文で書きたいなぁ……と思うことも多かったので開設したものだ。

 一応、本については読書メーターにも登録してはいるのだが、あちらは255字が原則で書ける内容には限界もある。Twitterも140字しかなく、ふせったーを使えばたくさん書けるけど埋もれてしまう。ならこういう形が良いんじゃないかな、という経緯だ*1

 

 

 

このブログを書いてる人について

 

 どういう小説が好きか、というのは以前記事にしたことがある。

 

bitter-snowfall.hatenablog.com

 

 ただ上の記事はどちらかと言えば、私が高く評価している作品についてしか語っていないので、ちょっと足りない所もある。

 どちらかと言えば私が「何か長文で書きたいことがある」ときというのは、大抵作品に対して違和感や納得いかないものを感じたときだ。

 どうしてこんな要素が入っているんだろう、ない方がスッキリするのに。ここをもっと違う感じで描写すれば納得が行くのに。このテーマを扱うには、この描き方はちょっと不十分じゃない? ――という感じで。

 

このブログの目的

 だからこのブログの目的としては、作品を分析することで自分自身の違和感や納得いかなかった所を掘り下げたい、というのがある。

 

 もう少しカッコいい言い方を使えば、違和感や納得いかない所として、「物語内と読者の評価や価値観の乖離」の存在が挙げられるだろう。これはあるとき、偶々見たあるブログ主の方が述べておられた概念である。

 

「物語内と読者の評価の一致」というのは、すごく難しい部分だと思うのだけれど、特に「登場人物の誰かをすごく見せたい」場合は、これが一致していないとそうとう厳しいことになる。 読み手の感覚が対象人物をすごいと思うのではなく、「すごい」という評価を下す人物の能力や見識を疑うほうに傾くからだ。 「物語内と読者の評価や価値観の乖離」がはなはだしいと、読み手は「物語自体がおかしい」という結論を出してしまい、作品批判や主人公のアンチ化が起こってしまう。

【小説感想】館が燃え落ちるまで残り35時間。事件を解決できるか。阿津川辰海「紅蓮館の殺人」 - うさるの厨二病な読書日記

 

  

 もっとも、上記引用のような事態はある意味、極めて特殊な場合と言うべきだろう。たいていの場合、人はいわばアンチになるほどの感情を持つことは稀なのだ。有り体に言えば、大抵の場合抱くのは「なんかおかしい」とか「なんか気に食わない」という類の感情だ。逆に「なぜ自分は面白いと感じたのか。その理由は何なのか」という場合もある。

 もちろんそれらの差異は絶対的なものというよりは、相対的なものだろう。「なんかおかしい/気に食わない」と「この作品の存在そのものやこの作品の価値観が許せない」の間は、案外遠くない。そしてそう思う理由は、その人個人の抱く何かに由来することが往々にしてある。私はそんな、評者本人の顔が出てきたり垣間見えてくるような感想・書評の類が好きなのだ(それに私が同意するか否かに拘わらず)。

 しかし、悲しいことにインターネット上ではそういったものを探そうとしても中々出会えない。元より、砂漠の中で砂金を見つけるかの如しだが、それでも見つからないことが嘆かわしいと思うこともある。

 やはり私は、具体的にどの部分が面白く感じたのか(描写? 設定? 展開? 文章? 表現?)、逆にどこがあまり好きではないかを明確に言語化してくれる方が好みだ。「◯◯だから、私は△△だと思う」と言ってくれる方がありがたい。たとえそれに同意しないにせよ、理由が明確だったり、自身の意思を示してくれる感想というものは、何かしら見るべき所がある。

 

 特に私の場合、①自分の中にあるモヤモヤした違和感を明確に言語化してくれたり、理由を説明してくれる感想や、②自分が捉えていた・考えていたものとは異なる物語の見方や解釈、読みを提示してくれるものを求めていることが多い*2ので、そういうものを自ずから欲してしまう。

  

 逆に好きではないのは、読者感想文タイプ。要は、(検索すればすぐ出てくるような)あらすじとか書誌情報や作者の情報を並べたり、単に「面白かった!」「感動した!」「自分も気をつけなきゃって思いましたor深く考えてみたくなりました」と言うだけ――みたいなものだ(誰かと共感することだけを目的とするなら、そういうのもアリなのだろうけど)。

 

 そういうわけで、このブログの記事が誰かのモヤモヤを晴らせたり、誰かを唸らせることができたのなら、何よりだ。所詮、私の自己満足。けれど誰かの役に立てるならこれ幸いである。

 

*1:いっそ読書メーターとかに書いた感想をこっちに移すことも考えているが、ブログ用に文章を直したり再構成したりする必要があるから、これについては検討中だ

*2:これは必ずしも、「自分と異なる解釈や読みに乗り換えること」を意味しない。要は、いわゆる"作者の死"の話。そして、自分はこれを一種の心構え的なものと捉えている。一方では、自分の感じたものを大事にしつつ、他方で「なるほど、そういう読み方もあるのか」と謙虚になる心持ち。自由に読むことと、他者への謙虚さだ。