苦雪のブログ

本やゲーム・映画についての感想を備忘録代わりに時折書きます。基本敬称略。

FINAL FANTASY VII REMAKE 感想【FF7リメイク/FF7R】

 

FINAL FANTASY VII REMAKE(以下、FF7R)をクリアした。当然のことながら、シナリオについてのネタバレ全開なのでご注意を。

 

 

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Chapter16より。 パッケージを彷彿とさせるシーン やっぱりここが一番「おぉ……」となった。

 

 

 

感想(ネタバレあり)

 

圧巻の表現・充実した描写・原作補完

 まず、難易度は終始ノーマル。道中サブクエストとかミニゲームもしっかりやり込み、クリアまで大体40時間。序盤から最終盤に差し掛かる辺りに当たる、プレイ時間の8割~9割は「すごい」と言いっぱなしだった。

 まず、何と言っても、ミッドガルの街の作り込み・背景描写。オープニングの荒野からミッドガルにカメラが切り替わる所の街の描写は本当にすごい。「この街で実際に人が住んでいて、生きている」と思うくらい。(そのせいで、クラウドたちの格好が異様に見えてしまうというシュール現象もできてしまった。なにせリアルな列車の中にスーツ来た人やらがいる中、背中にバスターソード背負った奴や、右腕がガトリングの奴がいる)

 ムービーや画面背景でのミッドガルの描写密度の濃さ、それ以外の演出面は文句なし。後述するように、ストーリーを鑑賞する上ですごく効果的だ。

 しかし一周するだけならともかく、クリア後取り逃したアイテムなどのために周回をするとなると、やや面倒だ・煩わしいと思う面も少なくない。例えば、移動中、会話が挟まれたり、特定の方向に注目する場面が来ると、それまで走っていたキャラが突然止まり歩き始めるのだが、このときの移動速度はかなり遅いし、カメラワークが固定され動かせない。こういうのが頻発する(これは、たぶん裏でロード挟んでいるためだと思う)。

 Chapter16の神羅ビルなどは、まずカードキーをとるためティファを操作するアクションパートがあったり、中盤はビルを登る中でスキップできないナレーションがあったりする。こういうのは1周目ならともかく、2回目以降はかなり長く感じた。

 ただその代償とも言うべきか、ミッドガルの街並みと演出の作り込みは凄まじい。自分がすごいと思ったのは、開幕の「壱番魔晄炉爆破に伴う住民への被害」をしっかり描写したことだ。

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FF7R Chapter2より

魔晄炉を爆破したことで、建物は崩壊し、道端には住民が行く宛もなく佇む。電気は通らず、背景には家族の安否を気遣う声を始め、主人公たちの行いによる被害者をこれでもかと描く。相当攻めたな、と思った。

 実際、これは当時と比べ発展したゲーム技術を遺憾なく用いているし、それが物語上の掘り下げにもなっている。

 進化した技術は「ミッドガルという巨大都市を支配する神羅の権力」対「星のために神羅に戦いを挑むアバランチ」の構図に、「そこに住む人々の存在」を刻み込むことに成功しているし、単純な二項対立で物語を描くことを制作陣が拒否していることの現れだ。ミッドガルに生きる人々は神羅と魔晄炉に依存した生活をしている。けれど、それは星の命を吸い上げることになる。神羅の行いによる被害者も少なくない。しかし、アバランチの行いは今ミッドガルに生きる人々の生活と安全を奪うことに変わりはない。文章にすればこんな感じのことを、開幕からの演出でもって描いたのを圧巻だ。

 

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Chapter5より 列車の中にいる怪しい人たち

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同上。 

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同上。


 それだけではない。序盤の拠点である七番街スラム・セブンスヘブンを軸に、そこに住む人々を描くことで、更にミッドガルの上層と下層の違いを浮き彫りにしている。序盤の数章で、神羅アバランチ・ミッドガルの多様な住民の掘り下げを丁寧に行っているのは好感が持てる。

 下記にある画像では、ミッドガルの上層と下層の建築様式の違いまでしっかり作り込んでるのが分かる。

 

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Chapter3より 手前側のスラムの建物と奥の方のプレートの作り込みのすごさ

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同上

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Chapter4より

 

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Chapter5より

 

 主人公勢の描写も優れていると思う。まず直接的には、本作ではアバランチの分派のリーダー扱いのバレットが掘り下げられた。初期は神羅への憎しみが先行している印象だが、壱番魔晄炉爆破後、自分たちの行いに其々の形で悩むアバランチメンバーに対して「お前らの覚悟ごと、全部オレが背負う」と言うシーンや、列車内での神羅社員とのやり取りなどは、当初の(文字通り環境テロリストの)バレットの姿、アバランチのリーダーとしての姿を掘り下げつつ描いているし、後の描写にも生きてくる。

 

 アバランチメンバーも自分たちの活動に対する悩み、クラウドとの交流を通して人物像が掘り下げられたことで、後の七番プレートの例のシーンに繋がる。同時に、アバランチメンバーとの交流を通して、「初期の金銭にしか興味がなく、ティファも含めた他人との交流が不得手なクラウド」、「他メンバーとの立ち位置の違いに悩むティファ」の変化も描いた。特に、4章を経た後のクラウドの変化は顕著で、ビッグス・ウェッジ・ジェシーに対して、「少し砕けた態度をとるようになったクラウドの姿」が描かれた瞬間は、これだけでFF7Rを買ってよかったと思った

 だから序盤からの積み重ねがあり、七番プレートでのビッグスとジェシーの死は本当に涙腺にきた。ビッグスとの会話中、「あんたはどうする」を選んだ時、ビッグスは「ここで戦うさ」と答える。

 その時のクラウドの目と口をわずかに開く動揺した表情。これだけで、クラウドの変化が伝わる。その後の「普通の男を舐めんなよ」と、クラウドにリーフハウス(孤児院)の様子を見るよう頼む下りも辛い。

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Chapter12より

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同上

 だが、クラウドが「断る。自分でやれ」と口調こそぶっきらぼうだが、表情の微妙な変化とそれまでの積み重ねから、クラウドが何を伝えようとしているのか分かってしまうのが本当に辛いし、ビッグスが息を引き取った時のクラウドの無念そうな表情。辛い。

  この後、七番街の住民を避難させるため、ウェッジが出来る限りの精一杯で、「後悔する時はいつだって手遅れっス」、「みんな助からなきゃだめなんだ」と神羅兵に叫んで、ゲートを開けた兵士が「ボクは後悔したくありません」と言うのも本当に良い。序盤この兵士に話しかけていたり、あるクエストをクリアしていると尚更、描写の積み重ねを感じられるシーンだ。

 

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同上。神羅課長と並んで印象に残ったモブの新人兵士

 ジェシーの死も同じで、「爆弾の償い」にしろ、「最期の話し相手」→「最期と決まったわけじゃない」、「また助けられた」→「何度でも助けるさ」、「みんなでママの料理を食べられるって……」→「アンタのピザも」とクラウドが即座に返すことにしろ、これより前の会話や流れを承けていることが分かるし、クラウドの変化も描いている。それだけに一層、感情が揺さぶられる。今回のクラウドは、中盤以降、彼の素とでも言うべき部分が出てきてくれて、嬉しい(あとカッコつけてるクラウドジェシーやエアリスなどグイグイ来るタイプ相手では素が出てるのがかわいい)。

 

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同上。

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同上

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同上 

 だから、七番プレートが落ちて、七番街が壊滅した時の凄惨さが印象付けられるし、その後バレットが仲間や娘のことを気にすることに十分以上の共感ができるわけだ。

 

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同上。七番プレート崩壊時

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Chapter13より。 ウェッジ救出時のバレット

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Chapter15より。 プレート上層からの風景

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Chapter16より

 やっていることはそれまで積み重ねた描写を有効に使うことに尽きている。しかし、それを多すぎず少なすぎずの塩梅でやるのはとても難しい。けれど、FF7Rはこれに成功している。

 だからChapter14の「お前これが終わってもなんでも屋続けんだろ?」「あってると思うぜ」からのバレットのセリフは、本当にいままでの積み重ねがあってこそだ。 

 

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Chapter14より

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同上

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同上。

 

 画像では貼ってないが、この後のティファの「(クラウドは)本当は優しいよね」と、それを承けてのクラウド「それは戦闘では不要だ」、バレット「ま、神羅には優しくする必要ねぇよなぁ」は、この三人が紛れもなく仲間になった瞬間を会話で描いていると思う。戦闘突入時や戦闘後の会話もそうだが、この辺りの変化っていいよなぁ……。

 さっきからバレットの画像ばかり貼ってる気がするが、今作のバレットは特に描写がしっかりしている。最初の頃からの成長というか変化が最も顕著なキャラクターだ。以下のセリフはそれをよく表していると思う。

 

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Chapter16より

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同上。

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同上。

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同上。

 この辺のバレットの変化が、プレジデント神羅との会話でも現れていると思う。特にプレジデントの命を奪うのではなく、「名誉」を選ぶというのが。
 後の展開に関わる箇所でも、序盤からのセフィロスの登場・クラウドの母親の回想・幼い頃のティファとクラウドの回想、七番プレート崩落時一瞬登場したケット・シーなどで、後の展開への布石を行っているし、文句ない(ただ、セフィロスのセリフについては後述。)。

 序盤からのミッドガルと住民の描写、七番街の描写、アバランチの活動がもたらすもの、これらを余る所なく描いた成果だろう。

 キャラクターモデリングも良くできている。カメラがキャラクターに近づく所でわかりやすいのだが、人間の顔や肌のシミやシワまで詳細に描かれているのは本当にすごい。

 ただその一方で、神羅カンパニーのメンバーの描写はもう少し増やしても良かったのでは、と思う。相変わらず、プレジデント神羅はあっさりセフィロスに殺された感じがしたし、ハイデッカーやリープはともかく、スカーレット辺りは余り出番がない。作中では、壱番魔晄炉爆破が神羅の自作自演であったり、列車の中に兵器を投入・伍番魔晄炉爆破作戦時のプロバガンダなど神羅側の描写を増やしているのは良い。

 もっと神羅メンバーの出番を増やしても良かったのではないだろうか。上に貼った画像のように、神羅課長がアバランチに対して否定的な意見を述べたり(こちらについては、その後列車がハイデッカー率いる部隊に襲撃される中での「私達は敵だろ?」「敵じゃない」とのやり取りがあるが)、プレジデント神羅がバレットに「神羅なき後の未来像」「魔晄なき後のビジョン」を考えているのか?と聞き、バレットが言葉に詰まるなど、アバランチvs神羅の対立を掘り下げようとする姿勢があった。それだけに、もっとそこを掘り下げても良かったのでは? と思う。

 あとChapter8~9でクラウドがエアリスと行動している間のアバランチメンバー側の描写も欲しかった。

 それと新キャラのキリエは何だったのか。実はユフィとか?とは思ったが 結局特にそういう仄めかしもないし、明らかにユフィとは別人なようだし。というか祖母のスラムエンジェルとか七番街のマーレは目立っていたが、キリエはあまり……。

 それとFF7Rには他にも新キャラがいるが、ウォール・マーケット関連のアニヤン、サム、マム、コルネオの部下のレズリーはともかく、3rdソルジャーのローチェはChapter4でのクラウドとのやり取りから、絶対Chapter17再登場するかと思ったのに出てこなかった。なぜ?

 ローチェの扱いもそうなのだが終盤の神羅ビル屋上辺り(Chapter17終わり際)からやや雑さが目立つ。大部分は後々で触れるが、ここではルーファウス神羅戦前後をあげよう。ルーファウス戦前は、エアリスを逃がすためクラウド一人が殿を務める→ルーファウス戦後のムービーでヘリの銃撃でクラウドが落ちそうになる→いつの間にかティファが来て、クラウドを助ける。

 本来なら、ティファが途中で戻るという描写があって然るべきはずが、一切ない。スタッフがやりたいから入れた感。

  まぁそれは後に触れるとして、もう一つFF7Rの評価点を語ろう。

エアリスはきれいだ

  これに尽きる。FF7Rはとにかくエアリスがきれいだ。かわいいとか美しいではなく、きれい。

 

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Chapter8より

 Chapter8の教会での再会シーンとか、感動してスクショ忘れてしまった。というかChapter8はエアリスの魅力がこれでもかと言うほど詰まっている。道中の会話でも一々「エアリスはきれいだなぁ……」とか「エアリスとクラウドの会話微笑ましいなぁ」とか「エアリスの家、すげぇなぁ」とか思ってしまうのだが、一番「ああ、エアリスはきれいだ……」と思ったのがここ。

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同上。こっそり家を抜け出したクラウドに対して

 

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同上

 適度にクラウドをからかうというか、クラウド母曰く「クラウドを引っ張るお姉さん」というか、エアリスってこんな人間なんだよなぁ、と思わせる辺りがエアリスの魅力だ。何を言っているのだとなるけど、そうとしか言えない。

 とまぁ、エアリスはきれいだしか言っていないが、Chapter8と9でもしっかり後の布石になる要素は入れていた。レノに対して、クラウドがクラス1stだ答えたときの反応とか、エアリスとクラウドの公園でのやり取りなど。

 後は、ティファがクラウドが変わったことの象徴を「目が怖い」と評したことに対し、エアリスはクラウドの瞳を「きれい」と言うのは、この二人の対比にもなっている。

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Chapter9より

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同上

 

 たぶんChapter8~9辺りは、自分的にこのゲームが一番楽しかった時間だ。エアリスとの二人旅が良かったのもあるが、Chapter9のウォール・マーケットがバカゲーの域に片足突っ込んでるのもある。

 何しろ闘技場からして、ノリが一々面白い。

 

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Chapter9より。 闘技場で勝ち上がると花輪を贈られる。クラウド「なんでエアリスにだけ……」

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同上。 決勝を勝つと、しっかりクラウド宛にも届く。

  

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同上。 控室には敗者がいるのだが、ちゃんとカッターマシンとかもいる。

 一番酷かった(いい意味で)のが、アニヤン・クーニャンとのダンスイベントだ。

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同上 アニヤン・クーニャン

 何しろ直前まで困惑してたのに、いざ踊るとなるとやたらとキメ顔でスタイリッシュに踊り始めるクラウド。というか、なんでアニヤンと普通にダンス合わせられるんだ(あ、それもしかしてクラウドが他人の記憶を読めることについての伏線?)とか、一々クラウドを囃し立てるエアリスが面白すぎて、音ゲー部分をプレイするのに支障をきたした。

 というか、この辺りノリが完全に龍が如くだよね。手揉み屋とかも爆笑ポイントだけど、そんなノリな気がする(ジャッジアイスが真のFF15とか言われたからかな?)。

極端な難易度調整

 ただ、難易度調整は現状極端な気もする。まず、難易度それ自体だが、イージー(またはクラシック)は本当に簡単。レベルとマテリアさえあれば適当にやっても勝てる。逆に、ノーマルはいわゆる「海外のノーマル≒日本のハード」。めちゃくちゃ難しい。敵のHPや火力が高く、ギリギリの戦いになることも多い。

 それと、(一応)アクションRPGとしては調整が甘い点を通り越して、失敗してると言わざるを得ない点が多い。。

 というのも、難易度ノーマルでプレイしていると、敵の魔法・遠距離攻撃・状態異常が理不尽なくらい強いし、敵の攻撃も避けにくい

 これは二つの要因があって、まずデフォルトの回避の性能が劣悪。たぶん、回避判定とかはなく、単純に軸をずらしたり距離を取るためだけのシステム。このため、他のゲームの感覚でやると敵の遠距離攻撃や魔法が避けられない状態になる(その癖、敵はめちゃくちゃ攻撃してきて、ホーミングでもしてくるのかと思うくらい当たるし、敵はこちらの攻撃を平然と避けてくる)。おまけに敵が操作キャラをやたら狙うAIを仕込んでると思われる上に、敵の攻撃を食らって怯むorダウン中、敵の追撃や別の敵の攻撃を延々と食らうパターンも多い。

 難易度ハードだと敵の銃撃が辛い。一発食らうと怯む→そのまま全弾食らうことで大ダメージとなる。おまけに避けにくい。

 この現状を鑑みると、既存マテリアのうち「かいひぎり」と「うけながし」はデフォルトでキャラアクションとして使えるようにすべきだったのでは?と思わざるを得ない。

 敵から受ける状態異常も強い。例えば、毒にしろスロウにしろ、食らうとアイテムなり魔法なりで回復しないとジリ貧になる→敵の火力も高い→両方回復しないとキツい状態が延々と続き、ますますジリ貧に→以後ループ。ついでに、このゲームは魔法やアイテム使用中攻撃を受けると、キャンセルがなされる上、溜まっていたATBゲージ(魔法やアイテム等を使うために必要なゲージ)やアイテム等は消費されたままである。厳しい。

 カメラワークも微妙。ターゲットの切り替えもやりにくい上、ロックオンした敵を中央に捉えてくれるわけではない。

 おそらくこのゲームをノーマルやハードでプレイする上で厳しいのは、この辺のあわせ技をしてくる敵全般。ボスにしろ雑魚にしろ油断するとその戦闘では積む可能性がある。特に複数体相手する雑魚や中ボス、攻撃が激しいボス敵辺りだろうか。

 個人的に、特に理不尽だなぁと感じた敵筆頭は、羽根トカゲ系の近接で攻撃しにくい高度から魔法を連打するタイプ、レイジハウンドなど「基本怯まない・追いかけてくる・尋常じゃなく避けにくい拘束攻撃持ち」、「複数体登場・状態異常・実質フロア全体攻撃・穴から穴へ移動するため、攻撃タイミングが限られる上、隠れてしまうと魔法が無駄撃ち」な宝条研究所のデジョンハンマー。上にも書いたが、ハードだと銃撃してくる敵全般。

 ボスだと「こちらはクラウド一人なのに向こうは開幕2人・一発掠っただけで仰け反り判定で身動きできないという出し得お手軽射撃持ち・その癖こっちは相手の短い空きに攻撃を当てるしかない・迂闊に攻撃or連撃するとカウンターでふっ飛ばされダウン」なルーファウス神羅(体力が低めで特定の技でバーストできるのが救い)

「終盤のバイクレースで出てくる時、こちらのカメラワークと画面の奥行きを弄り、プレイヤーの感覚からすると違和感のある操作を強要されるモーターボール」

「薙ぎ払いゲロビ・周囲一体を爆破(食らうと打ち上げ)・いわゆるファンネル風射撃・モンハンでいう這いずり・画面外に消えてプレイヤーをあっちへこっちへ・挙句の果てにワールドツアーまでしてくる」召喚獣リバイアサン

 この辺りには本気でイラッとしたし、これ以外にも腹をたてるくらい理不尽さを感じた敵は多い。というかこのゲームは近接攻撃系キャラ(クラウド・ティファ)と、遠距離攻撃ができるキャラ(バレット・エアリス)とでは難易度が明らかに違う。明らかに、近接が弱い。

 ただ上記のように、難しいゲームではあることは否めないものの、普通にクリアする分にはイージーやクラシックで差し支えはないし、その方がサクサク進められるだろう。というか、ノーマル以上だとレイジハウンド、デジョンハンマー、リバイアサンetc,etc...は文字通りのクソゲーだと思う。

 ただ、シナリオと演出面が優れているのは間違いない。「シナリオと演出に限っては、FF7Rはほぼ文句なしの神ゲー」だと思う。ただ、その最終盤は、ある意味でプレイヤーにとって釈然としない点(≒今後の布石?)も含む。

 以下では、ラストシーンについて容赦なくネタバレをし、かつ明言されていない点などについて考察もしているため、ご注意を。

 

ラストシーン考察(シナリオの核心に触れるネタバレあり)

原作FF7のリメイク……?

 いきなり結論に入ろう。FF7Rは全18章である。なぜこのことを始めに言うか。それは、このゲームは、途中までプレイヤーに「FF7を詳細に補完する意味でのリメイク作品と思わせておいて、最終盤のChapter18でこのゲームがFF7を文字通り作り変えている(REMAKEしている)ことに気づかされるからだ」。

 具体的にどこから、と線を引くのは難しいが、早くてエアリス・ティファと共に七番街に戻る~列車墓場のChapter11辺りからだろうか。

 この辺りから、エアリスはやけに未来を知っているような言動を取り始める。実際、プレート崩落前後は明らかに先を知っている節がある。

 後は、セフィロスの幻影もそうだ。というか、FF7Rのセフィロスの言動は明らかに7本編というよりは、本編後や関連作の「クラウドに執着している(ストーカー)セフィロス」だ。

 後は言うまでもなく、ウェッジの生存もそうだし、オリジナルの7本編とは相反する描写が出てくるし、エアリスとマリンの会話など意味ありげ。レッドXIIIの言動とか、明らかに変。

 極めつけは、序盤から出てきていた黒い影。これが、Chapter17になって「フィーラー」「運命の番人」と言われる。実際、フィーラーが出てきてクラウド一行の邪魔をするor逆に助けるのは、原作FF7と同じような内容・ルートであるか否かが決め手だと思う。だからウェッジ・ビッグス・ジェシーの生死が別れるときにも出てきたのだろう。セフィロスに刺されたバレットを治療するなど最たるものだ。

 ただ正直、Chapter18辺りになるとよくわからないことも多い。この辺りはエアリスの言動もおかしくなる。やけに抽象的で持って回った何とでも捉えられる言い回しや、分かったようでわからないような言葉や表現を使い始める(要はノムリッシュ)。

 Chapter18に出てきた白い壁は、原作FF7とのルート分岐であり、そこを越えた=原作とは異なる展開を意味するのだろう。ボス戦では明らかに「FF7EDのレッドXIIIとその子孫のシーン」、「メテオ」、「エアリスが死ぬシーン」、「エアリスの水葬」などが映る。

 この辺のヴィジョンが見えた理由は、エアリスの記憶を読み取ったからなのだろう(マリンにしろレッドXIIIにしろエアリスに手を触れられている)。だから、Chapter11以降のエアリスは明らかに未来を知っている(Chapter14のデートイベントはクラウドの夢っぽく演出されているが、ここのエアリスのセリフなんて先のことを知っていないとできない言動だ)。

 そうなると(終盤の発言が電波すぎるせいで)エアリスの言動が一貫していないようにすら思える。例えば、Chapter8や9のエアリスは未来を知っていて同じような行動をしていたのか? それは逆に不自然というか不気味だ*1でも、終盤のエアリスは明らかに先のことを大筋で知っている感じがする(少なくとも、自分の死は知っている節がある)し、なんだか性格というか声の調子・発言内容まで違う気がして、正直それまでのエアリスと同じ人間に思えなくなってきた。

 まぁそこは描写不足で納得しよう。実際、Chapter18の台詞回しや展開は演出の凄さで補ってるが全体的に突貫工事な感じもした。

 たぶんセフィロスも先のことを知っているのだろう。クラウドとのよく分からない空間での対決時もしきりに運命がどうだの言いたげだ。

 Chapter8の冒頭でエアリスがクラウドが身の上を明かしていないのに、クラウドのことを「ソルジャー」「なんでも屋」と呼んでいることも踏まえると、エアリスとセフィロスはループor2周目的な感じなのだろうか?

 

 だが一番分からないのは、ザックス。結局、ラストのザックスはあれはあり得た未来とか、平行世界とかそういうのなのか? 演出からはどうとでも言えそうだが、さすがに今回のFF7Rでザックスが生きているという描写ではなく、あくまであり得た未来・可能性の具現だろうか*2

 次に、ビッグス。「お前、生きてるの?」となったし、机の上にはジェシーのものと思わしき装飾品。この二人が生きてるのは謎なのだが、運命の番人を倒したから因果が逆転したとかそういう話なのか? 

 だが、まぁこの辺はどうとでも言えるような台詞回しや描写のせいで、正直よくわからない。つまり、全部ノムリッシュが悪い。

 とは言うものの、Chapter18の展開はおそらく次作あるいは今後の展開は(普通に別作品なのかDLCとかなのかは不明。そもそもあるのかすら分からないが)原作本編とは異なるかもしれませんよという制作側のメッセージなのだろう。

 まぁ仮に続きがでるにしろ出ないにしろ、今作のタイトルFINAL FANTASY VII REMAKEというのはクリアしてみて初めて、意味が分かるというタイプだったわけだ。でも、運命を打破するとか未来は白紙とかはともかく、ザックスの生存?やビッグスの生存、ウェッジは結局どうなったとかその辺は雑だし、制作側がやりたいからやったけど説得力が足りてない七番プレート崩落時のエアリスの言葉を承けてのウェッジの行動などがとても良かっただけに、Chapter18の雑さと説明不足が目立つのは否めないと思う。

 

トロフィーコンプを終えて

 先日、ハードモード全クリアを達成し、トロフィーコンプを達成した。

 

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 本編クリアに約38時間かかり、プラチナトロフィー取得するのに大体同じくらいの37時間かかる。
 トロコンして思ったのは、やっぱり戦闘の調整は極端だなという印象。上にも書いたが、ハードは難しい……というよりめんどくさい。裏ボスに挑むのに必要な召喚獣連戦(トップシークレット)攻略などで特にこれを感じた。

 ハードはHPとMPアップマテリア2個を各キャラにつけて、開幕せんせいこうげきマテリア付きキャラが、はんいか+ヘイストをかける→弱点属性や魔法で攻撃してバーストで大体なんとかなる。人によって苦手なボスは異なるだろうから、一概には言えないにしても、クラウドは反撃の構え、ティファはバーストさせてから正拳突き、後は雑に強いバレットとエアリスなどお手軽戦法があるため、結局レベルをあげて物理で殴る的な感じになってしまう。ぞくせいマテリアを防具につける、はんいかマテリアをつけて全体ウォールも一つの戦法として有効。

 マテリアを育てきるorSPで武器を強化し終えるまでがツライが、逆にそれさえ終わらせてしまえば裏ボスも楽勝だから、調整が極端だなぁと感じる。途中までひたすら辛くて、最後の最後が簡単すぎる感じ。

 後は、改めてストーリー関連。アパートの隣に住んでるセフィロスとか、ストーカーセフィロスとか、セフィロス関連は敢えて何も言うまいとして、本作が途中まで頑張っていたアバランチvs神羅の掘り下げを、最後の最後で放棄してないか?とは思った。

 FF7R前半で描かれたアバランチのテロ行為の掘り下げ(市街への被害など)、アバランチに参加するようになったジェシーの背景と彼女の罪悪感というものは、(製作者がどこまで意識していたかは不明だが)アバランチの行いは本当に許されるのか?という問題提起にもなっていたと思う。

 星を救うという大義名分、魔晄による被害、プレートの上と下との格差、神羅マッチポンププロパガンダ、ミッドガルに生きる住民も単純にアバランチの活動に好意的ではなく……七番プレート崩落はある種のカタストロフィで、ここまでの展開はアバランチvs神羅とは一体何なのか?を2020年以降の問いとして象ったのだと思う。

 それが一番出ているのがジェシー。魔晄をきっかけに父親が病魔に冒され、夢を諦めアバランチに参加したジェシー。爆弾の知識を活かしアバランチに貢献したジェシー。例え神羅の自作自演という側面があっても、彼女の罪悪感というものは消し去ることができない。だから最期の場面で彼女は(そしてビッグスも)あんな風に振る舞ったのだと思う。

 ただ、最後の最後でウェッジやビッグスが生きてる?(あるいはジェシーも?)となると、この辺の掘り下げが無化してしまった感もある。要は、確かにバレットやジェシーたちが戦う動機はあるが、それでもアバランチの活動で被害者は確実に出た。神羅の介入もあるとは言え、アバランチに全く責任(この言葉はいろいろな意味がある)がないか……となると、そこは難しいだろう。七番プレート崩落というのは、ティファやバレットにとっては悲しむべき事態だ。しかし、Chapter13でのクラウドのようにそこに乗り切れないプレーヤーもいたことは間違いない。その辺りの葛藤はここまでFF7Rが頑張って描写した成果なので問題ない。

 でもフィーラーを倒して、アバランチメンバーも生存(した可能性がある)ような描写をすると、それでいいのかな……と思う自分もいた。プレート崩落で死んだスラムの人が……と言い出すとキリがないとしても、そう思う自分がどこかにいることは否定できない。

 そのくせ、フィーラー関連はラストの描写が不足しすぎていて、納得や理解がまだ十分ではない。だから、結局よくわかんないまま手探りで考えるしかないのだが……それはなぁ……。

 やっぱり、途中までの掘り下げが良いだけに、最後の最後で今までの努力を自分からぶん投げた感じも否めない。

 FF7Rでは普通の人がテロを行う理由が描かれ、同時にそのテロによる被害を受ける人々も描かれた。テロを行う人々の中にも葛藤や立ち位置の違いがある(ジェシーはティファを覚悟がない人と言っていたが、これは彼女の同族嫌悪的な言葉でもあるのだろう)。テロの根本的な原因の神羅にもリープのような人がいれば、スラムに住みつつ神羅で働くその他大勢代表の神羅課長のような人もいる。ハイデッカーのようなタイプもいる。プレジデント神羅は外道だが、約束の地への執念、「魔晄と神羅なき世界」をバレットに問うところもある。タークスのレノやルードがツォンに「プレートを落とす必要があったのか?」と問うシーン。

 結局の所、今現在作中で答えはない。限りなく現実に近いリアルなFF7Rでその答えが出せるかは措く。現実だったらどうか? おそらく、出せない。たぶん、考えるしかないし、考えた以上は真摯に、そして考えに責任を持つしかない。Chapter17までのFF7Rはユーザーにそう思わせるだけの力を持っていたと思う。それだけに最後がもったいない。

 

 以上、FF7Rについての感想を述べた。正直、既に言われてそうなこと・大体皆が思うことを言ったに過ぎないと自覚はしている。本作に対する評価も、評価点はミッドガルの街並みとか演出で、戦闘難易度・ラストシーンは賛否両論といった感じで収斂するのではないか、という印象だ。

*1:どこかで入れ替わりでもしたのか?と思うくらいだが、さすがにそんなわけはない。機会があるとすれば、Chapter8~9でクラウド待ち伏せしたところだが、ナンセンスな考えだ。

*2:フィーラーを倒すことで過去にも「未来は白紙」が適用された→忠犬スタンプの絵柄からこちらはやはり別の可能性的な感じか。