苦雪のブログ

本やゲーム・映画についての感想を備忘録代わりに時折書きます。基本敬称略。

かんぱに☆ガールズの思い出~その1~

 

 

 ついにこの日が来てしまった。分かってはいた。それでも、やっぱり辛いものは辛いし、悲しいものは悲しい。

 

 (2021/6/20追記)その2へのリンクと、スクショとキャプションを貼り付けて内容と見栄えの面でも充実させた。

 

 

はじめに

 いつの日かこんな日が来るとは思っていた。しかし、どれだけ早くても2021年9月17日の7周年までは持つだろう。1~2年後は危ういだろうが、今はまだ大丈夫だろう、とどこかでタカを括っていた。それがこんなにも早く。ついこの間まで新しいシナリオの展開の布石を蒔くのに勤しみ、ユーザー待望のEXシュトリー実装イベントまでやったばかりじゃないのか――。

 6月11日のメンテナンス終了と共に、運営によるツイートを見て、呆然としつつ、そんなことを思った。時間が経って、心の整理をつけた後、メインストーリー第四部を読んだ。内心思う所あったことは否定できないものの、シナリオに関しては最後まで良いゲームだった。本心からそう思う。

 読んだ後、そんな徒労感、満足感、寂寥感が綯い交ぜとなった心境に囚われた。そのまま特に何かをすることもなく、(途中数時間のふて寝をはさみつつ)音楽を義務的に聞きながら時間を費やして、ついには6月12日の朝。ようやくこの文章を書き始めた。サービス終了となる7月12日まで残り1か月となった。一度寝かせたこの文章が公開されるときには1ヶ月を切っているはずだ。

 この文章自体、何となく「何か自分の中での記録になるものを残したい」という思いで書き始めた。題名にその1とあるので、少なくともその2が書かれる予定である。ひとまず、その1では自分のプレイ歴のうち、プレイするきっかけ、ファースト・インプレッションについて振り返った後、ざっくりと今現在に至るまでを振り返るつもり。その2ではお気に入りのキャラクターについて何かを語ろうと思う。内容の都合上、衣装社員・EXキャラが関わることになるイベント等が増える2018年以降についての詳しい話(例えば、なつぱにとか大紀行とか)は、各キャラクターについて詳しく語るその2で触れることになるかもしれない。

 その2の執筆のために、サ終までの1か月、キャラクターの立ち絵やシナリオのスクリーンショットを撮影したりするだろう(さすがに動画を残したりとかまでは考えていないが……)から、それなりに時間は空くだろう。何ならサービス終了後、その2が出るかもしれない。本当ならその1だってスクショとかを貼っておくほうが分かりやすいだろう(後々追加するつもりだが、そんな気力が自分の中にあるのだろうか)。

 だが、それでも自分が数年はプレイし続けたゲームだし、現にサ終と聞いて、心の底から打ちひしがれた。この喪失感から立ち治るためにも必要なことなのだろう。

 念の為述べておくと、自分はサービス開始時~2016年頃までの事情についてはあくまでも伝聞やインターネット上の記事を通してしか知らない。(ログインできない)無限の世界とか、銀ポスト>金ポスト時代とか、☆3ですら貴重な時代とか、第1部のジークリットにマジで勝てない時代とか、本気で「パン返せ」と言われていた頃を知らない。そしてシナリオ担当ライターが交代する前のシナリオに至っては、本当に知らない。あくまで私が知っているかんぱにとは、2017年以降のかんぱにである(おまけに大分記憶に頼っているため、特にゲーム内の細かい仕様について、実装時期を勘違いしている可能性大いにあり)。

  

きっかけ

 ゲーム内での実績を確認すると、自分がかんぱに☆ガールズ(かんぱに)をプレイし始めたのは、2017年の9月初頭らしい。当時の自分が何をしていたのか何となく覚えているが、全く実感はない。時期的にはこの後すぐに来た3周年とその前夜祭イベントだ。

 そもそも自分はなぜこのゲームをプレイしようと思ったのだろうか。かんぱにというゲームの名前は、その少し前、『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』とのコラボをやっていたので聞き知っていたと思うが、そのときはふーん程度だったと思う。

 それでも「プレイしてみたい」と思った理由は覚えている。1つは、2017年6月に実装されたEXモニク(☆4)こと【魔騎士】モニク・ワロキエの画像をどこかで見て、何となく興味を覚えたこと。もう1つは電撃コミックから出ていたかんぱにの唯一のアンソロジー*1。2017年8月末に出ていたこのアンソロジーだが、これに収録されているGAN氏執筆の「決意の騎士」のサンプル部分か何かを目にする機会があったのだと思う。それで「1000円くらいだしゲーム始める前かどうかをこれで決めてみるか」と考えたのだ。

 とりあえず1000円程度の出費が、数年に渡る縁となったわけだ。当該の「決意の騎士」は、アンソロジーの特典コードで貰える☆4キャラ、フランチェスカ・ドニにまつわる話で、騎士学校時代の先輩であるエレナ・アリオストに関する回想が中心となっている。今見てもいい出来である。その後何だかんだで、かんぱにの中で自分の一番好きなキャラはこのエレナ・アリオストとなったのだからという贔屓目はあるにせよ(でも今思えばリd……じゃなくてこのエレナ・アリオストさんはフランチェスカの脚色というか思い出補正により美化されてる疑惑ある。だってボクの知ってるエレナ・アリオストってもはや推定年齢20代の小宮果穂というか。何なら極めて限定的な状況下で一人称が自分の名前になる時点で精神年齢果穂以下なのでh)。

 そんなこんなでとりあえず1000円の元手をとることも考えて、かんぱに☆ガールズをプレイしてみることとしたのである*2

 

ファースト・インプレッション

 さて実際にプレイをし始めたときの思い出だが。シナリオがまぁまぁ面白そうと思う反面、肝心のゲーム部分に関しては初心者には厳しいという印象だった。今思えば、2017年当時は4周年・5周年・6周年を経た後とは別の意味で初心者に優しくないゲームだったなぁと思う。

 当時は徽章とかはなく、EX社員もモニク・ティナ・リリアナくらいのもの。衣装社員などまだ先のこと。そんな自分だが、やはり「キャラも育成リソースも何もかも足りない状態」だった。

 おまけに4周年(2018年9月)以前のかんぱには+3武器を作るのも一苦労。社長ハンマーなにそれレベル。オールハンマーも当時はなかったのではないだろうか。古参の方にはおなじみ「無駄ありの弓」環境だ。

 とにかく「無駄ありの弓」を手に入れるため、その設計図がドロップするメインストーリーを目指し、設計図が落ちるまで挑み、落ちた後もハンマーをカンカンカンカン。実際にはこの間に何日もかかっている。真面目に20日以上かかっていたと思う。

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最初の記念品
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今見ると、プレイして1月のときでも結構頑張っていたのだなぁ……
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こちらは第二部クリア時。懐かしい




 それだけに無駄ありの弓+3が完成してからは文字通り世界が変わったとは言うものの、自分の場合無駄ありの弓がなくてもあまり困っていなかった*3

 今、ゲーム内の入手社員を入社順でソートしてみると、モニク以外で初めに入手した黒封筒のキャラクターは、☆3のアクア、同じくルーナ。しばらくそれで進めていたようだ。

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アクア・オケアノス。 モニク以外の最初の黒封筒キャラ。しばらくはイーヴァと共にPT内に榊原ゆいキャラが二人もいた。ストーリーでも出番が多かった。彼女のEp1武器、+3作ってあげられないままだった……。


 ストーリークリアで貰える配布キャラとか毎朝のガチャで手に入れたであろうキャラたちの間に、☆5のイーヴァ、ホリーがいる。たしかイーヴァを3周年の無限の黒封筒で、ホリーをデイリーで引いたはず。最初期は回復過剰だったようだが、そう遠くないうちに長いことスタメンを張ることになるリド、レヴィ、ヴィオラ、そして特典コードで引き換えたフランチェスカが加入している。

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リド、イーヴァ、ホリー

 

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レヴィ 魔郷の元人妻その1(相対的に愛が重くない方)。結局娘のエンジェとの追いかけっこに決着はつかず

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フランチェスカ プレイ当初は貴重な槍(ソルジャー)。書籍系の中では出番多め

 

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ヴィオラ ストーリーでも目立つ(急に歌うという意味で)。後にリリスという二代目急に歌う人が登場


 今思えばヴィオラをプレイ開始間もないころ入手できて幸運だった。彼女のキャラストーリーEp1武器は、+2でパージインパクト(全体攻撃)が使える。おまけに他のメンバーも全員複数体や全体攻撃が得意な面々。無駄ありの弓がなくても何とかなっていた(ただやはり周回の都合上、同一パーティに弓キャラ二人とか、全体攻撃できる弓キャラを各パーティに一人は用意しておきたかったので、同時期に来たリディに無駄あり+3を装備させていた)。

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リディ 社長ガチ勢だったが……割と扱いで言えば不憫なタイプ。今でも無駄ありの弓+3装備




 それからしばらくは適度にイベントをこなしつつ、ゲームをプレイしていた。ハマっていたかどうかで言えば、後々に比べると然程という所だろう。なにせこの頃は無課金だった。けれど、スタメンは前衛リド・フランチェスカ・レヴィに、後衛ヴィオラ・イーヴァ(そりゃ謎の幽霊騎士リド・クロムウェルの正体はすぐバレる)。自分は新規参入者の中では相当恵まれていただろう。

 それと思い出話だが、当時のプレイヤーの例に漏れず、今は更新の途絶えたシカゴの暴れ牛さんのブログを見ていた*4。ゲームの攻略からイベント・キャラクターストーリーのスクショまで本当にお世話になっていた。今思えば、氏がブログ更新を止めた2019年2月の辺りは丁度自分もあまりプレイしていなかった頃だったが、それからまたモチベが戻っていったのだった。不思議なもので、1週間あるいは場合によっては1月くらいログインしないことがあっても、引退を考えるようなことは一度もなかった。ほんの数日~1,2週間ログインしなくても別に問題ないという点に何だかんだちょうど良さを覚えていたのかもしれない。

 

2018年以降について

 話を戻そう。2017年中については、浮遊大陸などもあったものの自分はそこまで熱心にプレイしていたわけではなかった。あくまで空き時間に適宜プレイといった感じ。

 転機となったのは、やはり2018年からであろう。2018年2月の「チョコまきバレンタイン」、5月の「ミニこいのぼり」イベント辺りから少しずつモチベが増えて、7~8月の約2ヶ月続いた「なつぱに」、続く4周年、そしてハロウィンイベント辺りで、好きになっていったのだと思う。

 人によっては、この時期以降「かんぱには変わった」と思うかもしれない。事実変わったし、良くも悪くもそれに適応できた人、適応できず離れた人が多かったと思う。2018年3月実装の☆5のEXルツィエル(黒ルツ)。衣装社員の登場と共に2ヶ月という長期間&限定キャラ多数という賛否両論を生んだ、なつぱに。そして4周年の☆5EXモニク。その後、各種季節イベントで登場することになる衣装社員とEX社員の先駆けである。

 正確には、EX社員による本格的なインフレは2019年のミステリオ大紀行から、それも黄金・白銀・漆黒こと三相天位のEX登場以降と言うべきだが、自分としては2018年の衣装社員辺りが転機だったと思う。言い方は悪いが、この頃から限定キャラ商法が始まったためだ。

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EX【黄金騎士】ミカエラ 自分はあまり育てられなかったが壁役としては本当に強すぎた

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EX【漆黒騎士】シビル シビルは下記の恒常・ハロウィンも含めて全員強い。斧環境の一角だっただけある
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左:シビル(恒常) 右:シビル(ハロウィン) アルモニカもそうだがEXで少しそっけなくなって悲しい(まぁ向こうもこっちもある意味愛が重くなってるけど)

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EX【白銀騎士】ノナ 全ての元凶(?)


 少し話はそれるが、ここからの話をするには、かんぱにというゲームについて触れざるを得ない。

 今も昔もかんぱにというゲームは新規にあまり優しくない。高レア(☆3以上と☆4・☆5のみの両方を指す場合があるが、ここでは☆3以上のこと)を引くのも大変だし、育成も大変。育成にはレベルだけでなく武器・防具も必要。武器と防具も実用レベルでは+3必須(岩窟防具とかは+4だが)、一部の有用なスキルのみ+2以下でも使えるという仕様。スタートした時点では、ユニットである社員(キャラ)も足りない、クエストに行くためのパン(いわゆるスタミナ)も足りない、武器・防具をつくるための材料も足りない、それらの回復量を増やすのもまた時間がかかる……ととにかく最初が一番大変なゲームなのである。ゲームが進めば、そこに昇進とか徽章とかも関わってくる。 

 加えて高難度コンテンツ(イベントの最高難易度の安定周回も含むが実質はエンドコンテンツの異世界の魔物のこと)をガンガン攻略するならば、☆1~2(茶色の封筒から出るので茶封筒)では余程の愛がない限り厳しく、☆3~☆4でも辛い。やはり☆5のキャラが欲しいという面があった。

 特に5~6周年の辺りからは、異世界の魔物を考えると、通常の黒封筒から出る恒常キャラは一部を除いてお呼びではなく、期間限定のEX社員(紫色の封筒)・衣装社員(テーマごとに封筒のデザインが違うため、とにかくカラフル)がほぼ必須という有様だった。

 もちろん、高難度コンテンツのクリアにそれらが必須というわけではない。現に自分も特に徽章とかを用意せずに、最終的には異世界の魔物100層は余裕になった(ただEXジーク・EXノナらを筆頭にぶっ壊れキャラ&異世界指輪装備ではある)。付け加えれば、そもそも徽章とかも異世界の魔物の攻略の100層以降とかを考えなければ、一切考慮しなくてよい要素であったことも確かである。

 話を戻そう。ソシャゲの常として適度なインフレや新しい要素の打ち出しは必須であろう。かんぱにの場合、一時期以降のEX社員・衣装社員乱発は、一方では既存キャラ(特に低レアキャラやゲームシステム上不遇なキャラ)の掘り下げや強化に繋がるという点ではプラスだったが、他方で限定キャラを持っていないイコール高難度コンテンツのクリアが安定しない、キャラが引けない等ユーザーのモチベを低下させることにもなった。

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EX【那須の陽光】ヒナノ 誇張抜きで環境を変えた6周年の魔物その1

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EX【アルテミス】ユディタ ヒナノと組んで環境を変えた6周年の魔物その2


 この点に関しては、運営側も時間はかかったものの改善自体は試みていたと思う。限定キャラの再入手の機会、育成要素の追加(昇進、とくに支社長)と育成アイテム面でのテコ入れ(キャラレベルを挙げるためのアイテム、武器・防具をつくるためのアイテムの配布)、新要素の追加(浮遊大陸・結晶社員、その他様々なイベント形式等)。

 だが、かんぱに運営の悪癖として、「当初マゾい仕様で実装→ユーザーの不満や反発を受けて緩和」の流れがあまりにも多すぎた。浮遊大陸実装から廃止までの流れ、キャラレベルアップのためのアメが当初は渋かったこと等は今でも覚えている。ライザのアトリエコラボ時もイベントの完走が相当難しかった。

 個々のイベントを見ても、イベント完走で貰える(キャラからのプレゼントという形)アクセサリーを入手しているか否かが異世界の魔物攻略の難易度を変えた面があった。特になつぱにやジューンブライドイベントのアクセサリーやセット装備は顕著である。

 しかし公平を期すならば、これらのユーザーから生じた不満に対しては運営も相当の時間はかかりつつも改善をしていったことも確かである。

 長過ぎると言われたなつぱには、翌年以降期間が短縮されたし(同時にキャラ実装という意味では少なめになった)、単調と言われたイベントも色々な要素や違いを取り入れて新鮮味を出そうと試みていた(好感度とかシナリオ解放とか)。

 浮遊大陸廃止後の徽章集めは相当程度緩和されてツアーでの入手になったし(それでもマゾかったけど)。

 一時期以降の乱発により、手抜きと揶揄されつつも、ミステリオ大紀行のオーブの仕様は少しずつマシになっていった。終わってみれば、ミステリオ大紀行世界観の掘り下げ・伏線バラマキという意味では次善の策だったかもしれない。

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EX【竜皇】ジーク EX社員の代名詞 環境が斧から弓に変わっても最後まで強キャラの立場を保っていたと思う(EXローズ)。なんだかんだ我が社でも一番レベルが高い(EXジークの相棒は恒常ローズ)

 

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リヴシェ 大紀行配布勢の優等生。スキル・作戦どれも優秀。唯一友人のベランと比べて出番にやや恵まれず

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EX【獣王】エルザ EXヒナノらの実装後の弓環境で斧で個性を出そうとしたキャラだと思う。そしてこの御方も壊れ性能

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EX【竜騎士ジーナ 待望のEX。残念ながらEXイト同様本格的に運用する前にサービス終了に……




 ライザイベントの仕様は、後に再登場した際、相当易しくなっていた。かんぱにはできる子なんです。ただ何もかも一番最初が鬼難易度とか出してくるせいでひどすぎるだけなんです。

 難しいのは、だいたい4周年(2018年9月)以降、かんぱに運営の採ったEX社員・衣装社員乱発、ミステリオ大紀行乱発の合間に異世界の魔物というやり方は、一面ではキャラやストーリーの掘り下げ・適度なインフレを促進していったものの、他方で生き残りのため新要素として打ち出されたものが尽く初動でつまずくとかで軌道修正を余儀なくされたことの帰結でもあるということだ。目玉要素・新要素でつまづく以上、安全な手法・無難な手法に頼るのは当然だ。ユーザーもなんだかんだそれを歓迎していた(と思うが、それに飽きるなりついて行けなくなる人も少なくなかったと思う)。

 おおむね皆喜ぶけれど、いずれやせ細ることは皆気づいていた。後知恵めいているが、この思いを分かってくれるユーザーもいるのではないだろうか? 

 それでも今振り返ると、相当の贔屓目もあるにせよ、かんぱに運営とユーザーの距離感というのは、少なくとも2017年以降関わった自分の目から見れば、まぁまぁ健全な方だったのではないか。イベントやゲーム内の楽しくない要素(異世界の魔物とか異世界の魔物とか異世界の魔物とかイベントクエストの甘酒ドロップ率とか周回張り付き前提な仕様とか)を愚痴りつつも、ゲーム自体にはなんだかんだ(惰性まじりながら)愛着があり、ときにパン返せ・梨木?と言いながらも、コンテンツ自体は好きだった。そんなものだったと思う。観方によっては、これも衰退しつつあるコンテンツ故の現象だったと思うが、得てして居心地のいい場所とはそういうなぁなぁさを内包しているのだろう。

 

 だが、それに不満・居心地の悪さを覚えた人もまた少なくなかったはず。肝心のゲーム部分が、時代遅れと言っても過言ではないほど。イベントの周回も高難度も基本的に、張り付き前提でドロップに左右される。戦闘システム自体も改善や試行錯誤はされたものの、根本的な部分に飽きや辛さを感じた人にとっては復帰する理由にはならなかっただろう。

 ゲーム自体が約7年程続いていたことから分かるように、戦闘システムもほぼ初期から変わっていなかった。キャラの配置や作戦など戦略性と言えなくもない点はあったものの、ゲームの大半は周回要員でパン(スタミナ)を消費するだけ。エンドコンテンツ(高難易度)の異世界も所詮は趣味でやる領域。異世界の魔物を攻略して手に入るアクセサリ(指輪)で何をするかと言うと、異世界の魔物を狩る。これだけである。指輪やその他の報酬に格別興味がなければ挑む必要もなく、最低限の報酬だけ取るのであれば指輪の強化もそこそこでいいし徽章など要らない。

 ゲーム自体も、連発される限定キャラに食指が動かなければ、シナリオを見るために周回してパンを使うか、武器・防具・アクセサリを作るだけ。後者すら既に周回要員とその武器+3を用意できてるならやらなくていい。無理に何かする必要がないというのは長所でもあり、また大いなる欠点でもあった。代わり映えのしないDMMの化石ゲームという評価も決して不当ではないだろう。

 なつぱに辺りからついて行けなかった人は、きっと大なり小なりそう感じていただろうし、あるいはついて行けてた人であっても、上記のことは認めざるは得まい。後で語るように、いくらかんぱにのシナリオ、設定、キャラクターはとても良いと自分は思う。しかし、ゲーム性(特に戦闘部分)が化石紛いな上、正直あまり運営に儲けが行くようには思えない課金システムなどを考えると、この極端に対照的な長所と短所は破裂寸前の風船みたいなものだったのかもしれない

 それに衣装社員やEX社員によるインフレこそあったものの、その壊れとされるEXキャラ内でもとてつもない格差が存在していたのもまた事実である*5

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EX【剣聖】ローズ 強いキャラとはいえ並み居るEXキャラ、他ならぬ恒常の彼女自身がライバル、対属性という不遇要素もあり恒常>EXとされがちな不遇枠(EXモニクの犠牲になった)

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EX【神樹】アルモニカ こちらは恒常・ハロウィン・EXのどれが良いかやや意見が割れていた印象。EXでいきなり「(消えるつもりはないけど)私が消えたらこの種を植えてください(そうしていつまでも傍で見守っています)」系女子になった

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エイル(バレンタイン) EX社員の本格的なインフレ&斧環境→弓環境の煽りを受けた

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ジーク(恒常) よく考えるとEP1とEP3武器で属性使い分け、EXとかのインフレ後も別に使おうと思えば使えるこのキャラって最初から壊れてたのでは?





 その意味で、私は「2018年以降のかんぱに」に本格的にハマった身である。そういう立ち場の人間であるため、ゲームに不満はあれど離れることはなかった。その理由を色々説明することはできるだろうが。とりあえず自分はかんぱに☆ガールズというゲームのシナリオ・世界観が好きだったのだと思う。しかし、例え私を含めて多くの人にシナリオや世界観が愛されていても、それだけでは生き残れなかったのだろう*6

 

シナリオ

 多分今後、ソシャゲでここまで好きになれるシナリオはあるのだろうか。誇張抜きに自分はそう思っている。

 現実世界で生きていた社長がミステリオに転移することから始まったかんぱにのメインストーリー。何もないところから、会社を立ち上げ、最初は地味な仕事を続けていく中で、少しずつ人と人との縁ができていく中で、少しずつ会社が大きくなっていく様。知らず知らず円卓騎士やその他大物と関わっていくことになったり、王国と公国の戦争に関わっていったりする中で、当初は「元の世界へ帰りたい」と願っていた社長が、「ミステリオで生きることを決意する」ようになる第一部。

 中立国アルカレイア・王国クオリア・レマルギア公国・教国ユグドラシル・異民国ルナエントからなるミステリオ。後に異世界『神威』の倭国・燈心、『エルドラド』の精霊郷・魔郷、『トゥバーン』など関わる勢力が増えるものの、各国の思惑や情勢どころか、様々な集団や勢力の思惑や陰謀が陰に陽に絡まる大きな流れの中で、ミクロな個人の小さな努力と意思が、世界そのものを変えるようになるというメッセージが、かんぱにには常にあったと思う。

 その点、第一部と第二部は象徴的な話だった。当初は「元の世界に戻る手段」を求めていた社長が第一部ラストではホリーを前にして、ミステリオで生きることを決意するシーン。第二部でショウと和解するシーン。ローズ・ジークという大きな壁に追いつこうとするモニクが、物語を通して二人に並び立ち、果ては己の道を見出すまで。そんな二人とルカに傭兵会社の面々を加えた歩みが、ケモミン・エクル・ルシェミといった異種族だけでなく、人や国家・集団のわだかまりや確執の時代から交流の時代へと変わるきっかけになる様。自分はこの第一部と第二部の流れが好きだ。

 傭兵会社とそこでの経験が、他ならぬ社長やモニク、アンやヒルダ、テレージアたちにとっての「居場所」となり、その環境がまた誰かにとっての救いや転機になる。思えば、最初から最後までそういう話だった。

 自分がプレイし始めたときには既に実装されていた第二部第十章。王国と公国の決戦。レマルギア公爵ヴラド・ワロキエと円卓騎士第一位ウラディエナ。多分ここが自分の中での最高潮だった。

 かんぱにというゲームは、メインストーリーの更新がなかなか来ないこともあった。膨大なキャラクターは各人の設定とか立ち位置もあるし、シナリオ展開の伏線やきっかけをイベントやキャラクターストーリーで補うことも多かった。それは致し方ない反面、歯がゆさもあった。それでも更新されるたびに満足の行く出来だったから、全然気にしていなかった。第三部の王国の内戦、ノイバウテン編、セフィロート浮上、倭国編とヤマタノオロチ討伐。これらはまさしく年単位に渡った。

 終わってみれば待った甲斐があったと言うに相応しい。しかし、一方で余りにもユーザーを待たせすぎたという印象も否めない。王国の腐敗やノイバウテンもそうだが、セフィロートを巡る話、ヤマタノオロチ関連はとにかく時間がかかった。特にヤマタノオロチを巡ってはキャラストーリーやイベントで仄めかされるものの、いつまで経ってもストーリーで来ないという状態が長すぎた。実際のヤマタノオロチ討伐戦は、第二部第十章同様、今まで傭兵会社が関わってきた面々が助太刀にやって来るという大いに盛り上がる展開だっただけに、複雑なものがある。

 この度のサービス終了に際して、第四部が公開されたが、2019~2020年中に伏線を蒔いていた教国ユグドラシル編の扱いは仕方ないとは言え、本来予定されていたものの殆どを捨て去る形になっていたと思われる。ましてや大きな目玉として実装された結晶社員については、メインストーリー上の掘り下げ等がないままサービス終了を迎えてしまった。この他にも、今後の掘り下げるはずであっただろうものは少なくない。

 元より、作中語られる物語は往々にして陰惨なことも少なくなかった。ノイバウテンや王国を巡る下りは、アンジェリクアデリーナ、カミュらの存在から覚えている人も少なくないと思う。それ以外にもティナのキャラクターストーリーのように、救いがないとさえ思われるような終わり方をすることもあれば、イーヴァやカタリナのように重いバックボーンが明かされるタイプのキャラもいた。比較的明るいリドやアレンカもキャラクターストーリーでは過去や死といった逃れられないものについて語られたり、ローズEp3のような陰鬱なシナリオが描かれることもあった。

 

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EX【死神】カミュ 一度死んで生き返った勢 4周年の頃とは大分雰囲気が変わって、こっちを看取ってくれる系女子になった。実装時は最先端の壊れにしてPTに欠かせない壊れ要員へ

 かんぱにのこれまでのあり方は、ユーザー側の「なんだかんだシナリオの出来はいいから待つ」という思い、運営側の「ユーザーも待ってくれるはず」という思いなどがあってこそできたことだったろう。その意味で、両者の信頼故と言える。しかし、それはゲームそれ自体が存続できるという大前提あってこそだった……。 

 かんぱに☆ガールズはたとえ低レアキャラであろうとキャラストーリーがあるし、各人の設定も大切にしていた。☆1、☆2キャラも頻繁にシナリオで出てくるし、出番の多いキャラも大勢いた。決して☆5キャラだけが優遇されていたとは思わない。周年イベント恒例の人気投票、バレンタイン・クリスマスそして温泉イベント時もそうだが、各キャラに用意されたテキスト量は膨大だった。

 なにせメインストーリー第四部の最後の最後まで、傭兵会社の中核メンバーは☆2~☆3キャラ。ウラディエナとの決戦も、EXローズとEXジークという二大巨頭が控えているとはいえ、EXモニク以外のメンバーはアンナ(ヴァルキュリアver欲しかった)と(こちらもEXとはいえ)ティナ。本当に作中のアンナとティナの扱いは☆3(片方は元☆2)とは思えないレベルの活躍ぶりだ。

 一部の覚醒の進んだ恒常☆5以外は皆EXか衣装社員という有様は、異世界の魔物を中心に考えた場合であって、少なくとも本編の設定としては決してレア度の高さで全てが決まっていたわけではない。

 先に述べたように、私が衣装社員やEX社員を好意的に見ているのは、ユーニスのように設定上はともかくゲーム上は他のキャラの中で埋もれてしまった面々を本来の「格」として相応しく扱ったり、救済する上では必要なことだったという面もあったと思っているからだ。無論、それはゲーム的には高レア偏重を助長することでもあったが、シナリオ面ではそんなことはなかったと思う。仮の話をしても詮無いが、今後もサービスが続いていけば、☆4以下の不遇キャラが別verという形ではあるものの、陽の目を見る機会はあったのではないか。

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ハロウィンverのレヴィ リリスっていうヤバいやつのせいで更に常識人ぷりが増した

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EX【歌姫】ヴィオラ 存在を忘れられてなくて安心した

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シンツィア(クリスマス) 担当声優さんの都合によるボイス実装遅れ等もあった。もしもの未来で精霊郷にスポットが当たる機会があればEXも来たかもしれない。

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ミア(バレンタイン) 忘れられてなくて安心した(二度目)





 社員もそうだが、かんぱにはモブキャラも個性があった。基本的に非戦闘キャラは男性・女性を問わず顔グラフィックのみであったが、それでも覚えているNPCはたくさんいる。皆大好きショウおじさん、最後の最後まで出ていた情報屋ブックマンを筆頭に、オルガ雑技団のグスタヴ、王国のソキウス・ドリアン・マクシミリアンといった各大臣、騎士団のジュン、中立国の都市開発課マーカス、賑やかしの盗賊団の親子、ルシェミのアランノール族長...etc。それ以外にもクエストで何度も依頼してきたモブ顔の名前ありNPC

 何だかんだショウやグスタヴといった転移者の存在は、物語上も重要だった。それぞれの理由はあれど、転移者である彼らがミステリオという場所で己のやりたいことを見出し、新しい居場所を見つけ、満ち足りている様。これは、第四部最終章での社長のウラディエナに対する、「自分の居場所として、認めきれなかった世界から」ミステリオに現れたというセリフに対応している。

 かんぱに自体、自分の居場所を探すというのがテーマとして随所にあった。自分の居場所を見出すこと。そして未知のこと、見知らぬ他者に対する理解と信頼、共存を選ぶこと。2018年から2019年、2020年、2021年と年々このメッセージは強まっていたと思う。

 だから私は第四部のウラディエナとの決着の付け方に満足している。そして文字通り世界の大きな出来事に関わっていった傭兵会社(もはや秘密結社とか世界を支配するPMCレベルの武力だった)が、争いの火種にならないよう自ら縮小の道を選ぶという選択も。

 

おわりに

 

 (公式Twitterより:

https://twitter.com/kanpani_STAFF/status/1403192768500011008?ref_src=twsrc%5Etfw)

 

 2021年7月12日にかんぱに☆ガールズはサービス終了する。ゲームデータがどうなるかは分からない。しかし、少なくとも物語としては完結した。傭兵会社とそのメンバー、ミステリオの未来は何だかんだこれからも楽しそうだし、久しぶりにモニクとレッカの漫才が見れたり、今どき珍しくなってしまった自分の意思を持つ社長というキャラクターの未来も文字通り「無限の世界」のようであったり。

 まだまだ語りたいことはある。が、それはその2以降に譲るべきだろう。

 

 (以下、追記と続きへのリンク)

 ↓

bitter-snowfall.hatenablog.com

 

(以上、2021/6/20追記) 

 

 最後に、運営・スタッフをはじめゲームに関わった皆様へ。かんぱに☆ガールズというゲームに出会えて幸運でした。ミステリオという世界、王国と公国の”戦争”、円卓騎士といった設定。王国・公国・教国・中立国・異民国・異世界といったマクロの話の中で生きる個人の意思が、世界を変えるきっかけになるという物語の柱。懐かしさを憶える群像劇と戦記物の香り。まじめな所も少しふざけた所も、自分は好きでした。約6年半続いたゲームのうち、自分が関わったのは大体3年半程でした。もっと長くプレイしていたつもりが、まだほんのそれだけしか経過していないことに驚きます。それでも今思えば、本当に全てが懐かしく、だからこそ辛く思います。本当にありがとうございました。

 

 

  

 

 

*1:

store.kadokawa.co.jp

*2:という思い出なのだが、これも怪しい所がある。試みにゲーム内での社員を入社順にしてみた所、フランチェスカを入手したのはプレイして2週間は経っていそうな頃だった。アンソロが先なのかゲームが先なのか。アンソロを先に買って放置したのか、特典コードだけ後回しにしていたのか。もう思い出せない。

*3:おそらく3周年イベント時の社長ハンマーを使った覚えがある……がこの辺りは本当に記憶が曖昧。下記にあるように、無駄あり+3入手前後の1~3か月を下記にあるようにヴィオラEp1武器+2のパージインパクトのみで乗り切っていたようにも、始めて1月程度で無駄ありを手に入れていたような記憶も、どちらも本当のことのように思えるのだ。

*4:

blog.livedoor.jp

*5:公式Wikiの「上級者向けの手引き」内には有志によるEX社員内での性能に関する記述がある。少なくとも、徽章なしで異世界の魔物の鳥と犬150層、竜120層程度は攻略できていた私から見ても、極めて信頼のおける記述である。

上級者向けの手引き - DMM「かんぱに☆ガールズ」攻略 Wiki*

*6:他のゲームと比べるのはナンセンスなことを承知の上で、例えば、私がアプリ版をやっていてandかんぱに同世代のアイギス(千年戦争アイギス)・花騎士(Flower Knight Girl)を、私の独断と偏見で比べてみよう。言うまでもなく、これは私の個人的な見解と視点に基づく評価であり、特定対象を貶める意図で言っているわけではない。もし不快な思いを抱いても責任は取れない。

 アイギスタワーディフェンス。ゲーム性も高いが、限定キャラ等の入手難易度と要求課金額もかんぱにに比べて遥かに高めだと思う。私はよく知り合いからタワーディフェンスとか戦略シミュレーションが好きそうと言われるのだが、正直後者はともかく前者はゲームが年単位で続くにつれて難易度が上がっていき、俗に言う持ち物検査や嫌がらせレベルの敵やギミックが目につくようになるため、プレイはするがそこまで好きではない。つまりアイギスもそういう所がある(裏を返せば、ゲームに対する賛否が、ゲームジャンルとして難易度が適切か否かという話に収斂する面があるということでもある)。ただ運営自体にはことさら悪印象はない。

 シナリオは、かんぱにと比べると毒にも薬にもならない感じ。not for meなこともままある。「敵対していた面々が味方になる」パターンのときは、かなり説得力が薄い。「なんであっちとは和解・共闘して、こっちとはしない?」「なんでこいつは許されてこっちは許されないんだ」「どうして、いつの間にかなぁなぁで和解してるんだ」となることも多い。世界観や設定・フレーバーはシリアスなのだが、本編のノリが一々ゆるいため、言い方は悪いが、敵の男には辛く女には優しいだけに見えることも。戦争・殺し合い・生存競争をしていた相手や異種族と絆を結ぶという展開が多い割に、経過や描写が読み手の補完に頼っている印象。

 花騎士は、よりキャラゲーに振り切っている。以前の虹メダルの件以来のゴタゴタはあるものの、要求課金額が高め&キャラの入手性がしにくい順に、アイギス>花騎士>かんぱにの印象。

 花騎士は最近アビリティ等に大幅な調整が入ったため一概に言えないが、良く言えばパーティ・攻略に自由度が高く、悪く言えばスパゲティコードのように色々と煩雑。この辺りは慣れてても分かりにくい。

 定期的に開催されるナイトホグル、ミズウォルム等のイベントや、高難度コンテンツでは持ち物検査、露骨な嫌がらせ敵・ギミックがしばしば出てくることもある。正直、高難度コンテンツのつまらなさと面倒くささは、アイギス・かんぱにの遥か上を行く。新キャラ登場やユーザー間での流行りによる特定のパーティ一強状態を露骨に対策してくる結果、それ以外のパーティもついでに死体蹴りされるパターンもしばしば。

 これと、先に触れた虹メダルの件以来の運営の行動に対する信頼感もあまり芳しくない。些か誇張した言い方だが、今や界隈全体も、常に運営寄り、難しいこと考えないで頭空っぽにして好きなキャラ愛でてたい派、不満や文句はしっかり言う派で分かれてしまっている感が強い。

 それと個人的には、アプリ版実装時から「予期せぬエラー」「Memory Error」による強制終了頻発が今日まで一切修正されていないのも大幅原点。端末再起動・アプリの再インストール・キャッシュクリアをしても改善されないこのエラー地獄が何件も報告されているのに、未だに公式からもこの件にコメントがないのは、さすがに印象が悪い。

 シナリオは、ほぼ100%キャラゲーみたいなものなのに、それに振り切れていない所も多い。キャラを活かす上でのシリアスではなく、キャラを振り回すシリアスばかりの印象。アイギスも花騎士も、暗い世界観や陰惨な描写を全面に出してシリアスにやりたいのか、キャラゲーとしてなぁなぁにやりたいのかはっきりしないこともある。特に花騎士の場合、普通のイベント以外、すなわちメインストーリーや世界観設定が関わると、グチャグチャしている面も否定できない。

 例えば、水影の騎士の最終幕、賢人ラェヴァとロータスレイク初代女王ネムノキの話は個人的に高評価なのだが、ラェヴァの転落のきっかけに安易にヘイト役のモブを使ったりする日和見っぷりが気に食わない。

 これは当時あったことだが、ラェヴァが出た時はめちゃくちゃ叩いてたのに、ラェヴァの過去でヘイトモブが出てきたときは、掌を返してそのモブを叩きラェヴァは被害者!みたいな反応する人が本当に少なくなかった。

 逆にその後、ロータスレイクの特務機関ネライダの長、カルダミネ・リラタが出てきたときはなまじ人気キャラのネムノキに対する”悪役”に、新キャラのカルダミネがぶつけられた結果、荒れた。

 私個人はキャラ同士がガチるのは全然構わないのだが、当時の荒れかたは、ストーリーでの描写が「100%カルダミネが悪く、ネムノキは一ミリも悪くない」ようにしか見えなかったため、カルダミネがめちゃくちゃ叩かれる始末。今でもラェヴァ・カルダミネ(とネライダ)に対しては人によって意見が分かれる。

 ただ、これは結局書いてるライターの掌の上で踊って、お出しされたヘイト役に吠えてるだけな感も否めない。私は、ラェヴァとカルダミネがアレすぎるとは思うのの、これはユーザーを怒らせるくらい悪役・憎まれ役の書き方が上手いからというよりは、逆にやりたいことに比して具体的な描写が下手すぎるのである。正直、それに載せられて踊るのもしょうもないというか……。

 私もネムノキに惚れた人間だが、ラェヴァ(と闇堕ち理由のポッと出モブ)・カルダミネのメインシナリオ上での扱いの悪さと、ネムノキへの過剰なまでの手厚いフォローは不均衡だと思う。長くなったが、花騎士に関しては運営と界隈双方のこういった所全体が好きではない。

 フォローするわけではないが、かんぱにやアイギスと比べると、花騎士はなるべく新要素を多めに取り入れようとしている。ナイトホグル・ミズウォルム・フラスベルグ以外にも、クジラ艇・カラクリ城。キャラ実装や育成面でも何かとテコ入れをしている。全体として、なるべく目新しいコンテンツを供給しようとする意図は感じる。カラクリ無限城は実装当初は正直うわぁ……となっていた側だが、改善された今では色んなパーティを試して遊べるコンテンツになっていると思う(※ランキングを狙うユーザー向けの破級、そして通常難易度でも100層以降に関しては別の話で、いわゆる”簡悔”めいていると思う)。育成要素等についても改善の傾向自体はあるため、一概にダメなことばかりとも言えない。

 ただ虹メダルの仕様変更時やその後の対応も含めると、「運営の意図」をユーザーに伝える姿勢に欠けていたり、初期対応が悪かったりすることも多く、上記の新要素もプレイヤーからすれば「面白さ」よりも先に「面倒臭さ」が伴うことも少なくない。

 何ならその新コンテンツと高難易度の「持ち物検査」「簡単にクリアされたら悔しい」系がセットなこともあるので……。繰り返しになるが、一人のユーザーとしてはこの辺りに対する反応も含めて、界隈における運営に対する態度が極端にも見える。

 まとめると、花騎士もアイギスも、個別のキャラのストーリーはいいのに、それ以外の場面(例えばメインシナリオ)では説得力に欠ける描写や書き手の都合を感じる展開が多めになりがちという傾向がある。その点、かんぱにはどちらも及第点以上”だった”。ただしゲーム性ではアイギスに遥かに劣る。花騎士の場合、かんぱにのほうが単純だと思うが、これは長所にも短所にもなり得る。

 結論めいたことを言えば。

 ①アイギスのように多少の不満はありつつもゲーム性と少しのキャラゲー要素を獲得したゲーム、花騎士のようにほぼキャラゲー&運営に対するユーザーの態度が両極端なゲームに対して、かんぱにはキャラ&シナリオゲーとしては好感度が概ね高く運営自体への信頼概ね安定していたものの、ゲーム性部分は温度差こそあれほぼ全員否定的に見ているゲームであった。極端な”信者”も”アンチ”もいない類のゲームだったと言えよう。

 ②アイギス・花騎士はなんだかんだ課金を促す要素やコンテンツに恵まれているのに対し、かんぱにはそういった要素が極端に少ない。キャラゲー以外の面で見ても、花騎士に勝っているとはとても言えない化石レベルの戦闘システム。ソシャゲは大なり小なりキャラゲーであるが、キャラゲーとして課金を促すか、それ以外の部分で課金なりユーザーを定着させることができるかという点では、かんぱには両方秀でていなかったと言える。むろんそれは、無理に高難易度や面倒くさいコンテンツをやらなくても何ら問題ないゲームということでもあった。

 ここから直ちに何か言えるわけではない。が、ソーシャルゲームの運営が続くかどうかについて、気に留めておくべきことなのかもしれない。かんぱにが採らなかった(採れなかった)道を行くアイギスや花騎士が今後どうなるか、は注視すべきだと思う。それ如何で、他に道はあったのか。それともどうしようもなかったのか、がはっきりするのかもしれない。