サービス終了から、1か月(ついでに盆も)経過したかんぱに☆ガールズ。その思い出を振り返るのも今回で4度目。そして(おそらく)最後の思い出振り返り。
さて、振り返りの(一応)最後になる今回であるが、実はこれまでの3回でかんぱに☆ガールズに関することは殆ど私の中で語り尽くしている。いい思い出も、無念な点も、惜しい点等も含めて、概ね文章に残すことができた。
なので、今回取り上げる内容は有り体に言えば、重ねて語る必要もないことになる。ただ、これまでの3回で話題にあげつつも、直接は触れられなかった点やキャラクターに触れることで補足とし、これをもって振り返りの一区切りとしたい。
(その1からその3まで↓)
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(一応の)最後に振り返るのは、これまでの3回でも取り上げた話のいわば続きが1つ。そして、「もしサービスが続いていれば」系の話を2つ。まずは前者から。
カタリナ・デ・カルナ
表向きはスターシャ修道院助祭、裏では闇十字教会の「黒衣聖母」隊長。聖歌隊にも所属している。基本的にメインストーリーに出てくるときは、裏のお仕事として出てきて、イベント・キャラストーリーでは専ら聖歌隊での活動の話になる。
かんぱにのローグ(暗)は、ローグを本職とするのは低レアキャラが多く、レア度が上がっていくにつれ、密偵・諜報員系だの、アサシン(暗殺者)系だの、両方兼職だの、果ては味方にバフをかける「しがない吟遊詩人(本人談)」と色々いる感じになっていく。カタリナについては、上記の通り(☆5キャラの中で一番聖職者らしい格好だが)。
さてカタリナなのだが。
時折こんな風に仮面を被る(その目の光はなんなんだ……)。毎回画面上の立ち絵が律儀にこれに切り替わるため正直吹き出してしまう。
この仮面は、「黒衣聖母」としての活動時、つまり裏仕事での諜報だとか何なら敵対者の粛清時に被るもの。分かりやすく言えば、彼女は仮面をつけている/つけていないをスイッチにしているタイプである(立ち絵でも持っているが気にしてはいけない。普段はきっと懐にでもしまっているはず)。仮面をつけているときは、大体目の前の相手に殺意100%の言動をしている(その被害者は専らノイバウテンである)。
補足すれば、彼女はノイバウテンが街一つを消し飛ばした「アルノイアの悪夢」の生き残り。次代のエルスの闇十字の継承者、スレイドを継ぐべく街を離れた日に、「アルノイアの悪夢」が起こったのである(ちなみにこのとき亡くなった先代スレイドの力を一部継承したのがフローレンス)。もっとも、彼女が継ぐはずだったスレイドは当時まだ赤子のイーヴァに継承されることとなり、彼女は闇十字(影)の影として「黒衣聖母」に入ることとなる。なおこのときのカタリア、3歳である。さすがに無理があるがイーヴァはメインストーリーでの初登場時、15~16歳と自称していたと記憶しているのだが、そうなるとカタリナ(実装はもっと後だが)の年齢下限は18歳で、おそらく作中で20歳代前半辺りか。
とはいえ、本編で出てくるカタリナは、殺伐とは正反対の人間である。人当たりはよく、明朗である。その辺りについて、まずは”素”の彼女が窺い知れるシーンを紹介しよう。
これは、クリスマス当日に劇場での伴奏歌を担当するカタリナ(比喩とかではなく本当に十字架背負ってるのを気にしてはいけない)。
劇が大真面目に真面目なら流れから逸脱していくのに合わせて、歌詞も(アドリブで?)変えていく名(迷)シーンである。お金払うんで門脇舞以にこれを歌って貰いたい。
カタリナが、真面目さとラフさを交える所以は、次のキャラストーリーにある。
こちらは別verであるクリスマス時のキャラストーリー。カタリナによる子どもたちを対象にした歌唱教室だが、子どもたちは恥ずかしがって合唱の練習が上手く進まない……という最中のレクリエーションである。
他には、こんなのも。
こんな風に、カタリナは割と愉快な人柄をしている(なお「無口だがにこやかな笑みを絶やさない助祭様」……無口?)。ちなみにストーリー部分だと全く分からないのだが、秘書時の彼女はまた別の意味で、愉快である。カタリナは緊張しいの照れ屋なので、テンパってセリフを噛みまくり、どもり、何も言えず退散する小動物。
とはいえ、ここまでで分かるように彼女はよく歌っている。賛美歌を聴いたティナは絶賛したほど。聖歌隊に所属しているが、キャラストーリーのように即興歌もよく唱している。
お金払うんで、門脇舞以に歌って貰いたい(二度目)。 ヴィオラ・カタリナに続き、リリスっていう本当に歌い出すやつが現れたんだから、希望はあったのだが。
話を戻す。彼女を取り上げたのは、別にこれを書いている人間がカタリナを好きだから、というだけではない。これまでの3回の振り返りの中、ティナやアルモニカの話の中で話題に挙げていた部分とも関わるところがあるからだ。次はその話に移ろう。
このやり取りについて説明すると、公国の”向日葵の家”(クリスティン院長の孤児院)出身のフィリスは(本人のキャラストーリー等での紆余曲折を経て)自身の進路に悩む中でスターシャ修道院での生活体験をすることとなる。その過程で、カタリナはフィリスに表ではなく裏の闇十字の聖職者の適正を見出す。修道院の「裏」を案内するカタリナと、孤児院出身かつ元闇十字のメイベル、そしてフィリスの間で話題が「信仰対象を変えること」の是非に及んだときのものである。以下は、その続き。
この信仰に関する話題、いわばその裏話に相当するものがフィリスのキャラストーリー中にある。
やはりクリスティン院長は格が違った。
ともあれ、カタリナの場合、「信仰」以外にもう1つ大事なことがある。この項目の最初で立ち絵に触れたが、彼女は仮面を被る/被らないという極めて分かりやすい変化でもって、その時々の自らの役割をこちら(物語の受け手)に教えてくれる。スターシャ修道院助祭/黒衣聖母/聖歌隊。そんな風に複数の立場を使い分けている彼女曰く。
以前も触れたが、アルモニカのセリフの一つに「自分らしさは自分だけが理解しているものではない」という趣旨の内容がある。神出鬼没・顔も身体も自由自在に変えられる人外の言うことと、仮面を着けてでも役目に邁進しようとした人物の言うこと。どこまで狙っていたのかは分からないが、面白い。
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本当にクリスティン院長は、格が違う。
以上、前々回のティナと前回のアルモニカ等で言及していたカタリナについて。これをもって、私が語りたかったことはほぼ全て語り終えた。
ただこれらの話というのは、いわば作中で既に語られていたものでもある。対象こそ、信仰・自分らしさ・存在の意味etcと多岐に渡るものの、(もしそれがあるとすれば)主眼とするものは始めから同じところにあった。それをなんと称するかは場合によるにせよ、これまで取り上げてきた人物にも相通ずるものがあると私には思える。
その一方で、サービス終了という店じまいにあたって、本来語られるはずだったが捨象されたものという要素もまたあるだろう。もちろん、それにしたって前述のテーマに何かしらの形で合致していたのだとは解釈できるが、物事には幅、もう少し多義的な言い方をすれば揺らぎやブレというものがある。良し悪し両方含めて、個性と言い得る。
一連の記事の締めくくりに、そういった諸々が十分描かれる前にサ終という形で役割を終えてしまったキャラクターたちについて取り上げることとしよう。要は、もっと出番が見たかったキャラクターである。
リリス・リィ
ご存知(?)ヤバい方の魔郷の(元)人妻。魔郷の公爵、ヘルガノン八柱の一人。ラクリアという都市を支配し、”詩姫”の異名を持つ。2020年3月、EXカミュが登場した「ミステリオ大紀行 魔郷」で実装。彼女の歌は、未来を予知すると言われ、作中では一度死したカミュの復活やそれによる変化を予言した。
前述のカタリナ、そして以前に名前を挙げたヴィオラ等、歌にまつわるキャラは多い。その中でも、彼女が他キャラと一線を画すのはひとえに実際に彼女の歌声がゲーム内演出として流れるという点だろう。手持ちの録画ファイルの都合上、EXカミュが実装された「ミステリオ大紀行 魔郷」イベント内でのシーンではないが、社長室・キャラストーリーでの録画があるので、参考までに*1 。
リリス・リィの歌(in 社長室)#かんぱに pic.twitter.com/qjwJwld3tH
— 苦雪 (@bitter_snowfall) 2021年8月16日
大紀行イベント時、突然この歌が流れたときは驚いたものだが、結構好きな演出だったりする。第二部で主題歌をBGMとして流していたこともあったので前例がなかったわけではないが、イベントで実装された1キャラクターにわざわざこういう演出を用意するのは珍しいものだなと思った。なので、実は結構かんぱにの未来は明るいなと思ってたりもした。小さなことだが、こういう手間をかけるくらいにはまだ開発側もやる気があるんだなという風に受け取っていたのだ(いつかはカタリナとかヴィオラとかロキアとかの生歌あるかな、とか)。
さて、人物および性格面について。
恒常のキャラストーリーは、彼女の趣味である音楽にまつわる物を求めて中央都市を行脚する話。
レコード収集が趣味だったり。たまたま見つけたエレカテープに自分の歌(上記参照)を吹き込んでみたりといった一幕を挟みつつ。
ちなみに。
最後の最後にとんでもない爆弾発言を残すのだが、元人妻だとか娘持ちとかなら前例がいるのであまり大したことではない。問題は、
・社長室での放置セリフ、「あの方は特別、誰にも見つからない所に、隠してしまいたい。そう…永遠に。うふ♪」
・公式ツイッターでの紹介曰く、
「性格:表向きは優しいお姉さん/裏側は計算高くて嫉妬深く独占欲が強い/残忍/素は天然
特技:即興歌が未来予知となる
好き:歌/人間(いろんな意味で)/愛情(いろんな意味で)/チョコレート
苦手:不協和音/平穏無事/辛いもの」*2。
ハロウィンに花嫁衣装来て戯れに(なお半分本気)夫婦の真似事しようとしてくる(元)人妻なんてかわいいほうだった。
ただそうは言っても、即強硬手段とかを採るタイプではない分、リリスはまともである。
なおクリスマスverでは、クリスマス当日に娘へのクリスマスプレゼントを選ぶため呼び出されるという外堀どころか内堀まで埋められる。もうあらゆる言動に裏の意味を感じ取ってしまうレベル。普通に考えて、それ娘への再婚相手の紹介なのでは? まだ取引先とか親しい友人の範疇でギリギリ済むかもしれないヴェルグに対して、こっちは最初から振り切れていた。
話を戻す。娘(リリィ・アン)への贈り物を探す途中、「素朴に音楽を楽しめるもの」として社長が見つけ出したのは。
リリス・リィ(クリスマスver)の歌(in 社長室)#かんぱに pic.twitter.com/KRbwWaDxdK
— 苦雪 (@bitter_snowfall) 2021年8月16日
ここで上記の歌が挿入される。
リリスの歌が本人も知らないところでオルゴールの旋律として収録されて、市井に流れ着いた……というこのイベント。恒常のエレカテープの話を承けているのも含めて、長く生きている魔郷勢らしいシナリオ。
そして余談。
・表向きは優しいお姉さん
・裏側は計算高くて嫉妬深く独占欲が強い
・残忍
・素は天然
以上、残忍以外のほぼ全てが詰まったヤバいやつリリスの性格が余す所なく表現されたシナリオ。
おまけ
ヴェルグ・ヴューゼ (放置ボイス)#かんぱに pic.twitter.com/GZfgB5hES9
— 苦雪 (@bitter_snowfall) 2021年8月17日
ヴェルグ・ヴューゼ(クリスマスver) 放置ボイス#かんぱに pic.twitter.com/UpfsNSijwJ
— 苦雪 (@bitter_snowfall) 2021年8月17日
フラニー・ミラー
フラニー・ミラー。かんぱに☆ガールズ最後から一つ前のイベント「かんぱに☆遅れてきた大型新人とワクワクわーきんぐ!」(2021/4/30~5/21)にて、EXアニエス、EXクリスティン、EXサーガと共に実装されたキャラクター。最初に☆4のフラニー(暗)が配布され、イベントを進めれば最終的に剣・聖・魔いずれかの☆5のEXキャラとしてのフラニーが貰えるという形式だった。
正直に言うと、このイベント当時はそこから2か月もしないうちにサ終が来るとは思ってもいなかった。これより2つほど前のイベント(EXイト、EXカレナ、EXジーナ実装)のシナリオでわざわざ異世界の魔物の解説をしたり、フラニーのイベントでも最初に傭兵会社や各職について説明したり、と比較的初心者を対象にしたと思われる解説がシナリオ中行われていたのだから。むしろ(今更かよと思いつつ)かんぱに君は不器用なりに頑張ってるな、と謎の目線で感じてしまったくらいなのだから。
茶化してるように聞こえるかもしれないが、当イベントと次のEXシュトリー&ファリなる実装イベントも含めて、一人のユーザーの立場から、シナリオ面で極めて満足度の高いイベントだった、と思っている。とりわけ、フラニーイベントは。
このイベントのシナリオは、日々の生活にも事欠き、糊口をしのぐように生きているフラニーが、ほんの少しの転機(傭兵会社の求人)から、秘められた才能を見いだされ、師と環境に恵まれ、やがては大成するという王道中の王道。
その道の先達であるアニエス、クリスティン、サーガから見てフラニーには才能が眠っていることが分かった。アニエスは、奥底に眠る闘争心と魔法剣の才を。クリスティンはギフトすなわち治癒師と魔法士両方に適性のあるセージの才能を。サーガは、自らを相手の認識から隔絶させる陰魔法の才能を。それぞれ見出す。
師としての立場からフラニーに接するアニエス、クリスティン、サーガの三人も、それぞれの経験や個性から導かれる指導方法・方針によってフラニーを導いていく姿が描かれていたという点で、彼女らの掘り下げにもなっていた。
サーガは恒常、バレンタイン、パジャマに続きEXで4人目。クリスティンとアニエスは限定キャラとしては、水着以来の登場。クリスティンこそメインシナリオ等でそこそこ出番はあったものの、アニエスはあまり出番がない状態、サーガも限定キャラとしての出番は多かったものの、他のクロムウェル研究所メンバーと比べると本来の役回り(=魔法士そして第4部教国ユグドラシル編での出番)に相応する立場で登場したという点が重要。
出番が望まれ、かつ彼女らの立場と実力に相応する扱いがなされていたこと。それぞれの性格や個性にも応じた指導をしていたということ。
長年の努力や経験によって、フラニーよりもその道を知る彼女らの目からフラニーの可能性が見いだされ、そんな彼女らによって、フラニーが大成していく様。それと同時に、道に迷っていたり、立ち止まっていたりしていた彼女らが、フラニーの成長と共に初心を思い出し、改めて進むべき道を見出す過程。いわばフラニーの存在がひいては彼女ら自身にとっても一つの”転機”となっていく。満点と評するのに申し分なかった。
フラニーとの出会いと日々は、導く側の三人の心にも働きかけるものがあった。
一方のフラニーは「自分は何のために生まれたか」を知りたがっていた。そのフラニーが師との出会い導かれ、時に壁にぶつかり、時に同じ道を行く先達と出会い、時に己の過去を省みて、時に自らのトラウマを乗り越える過程で、「自分にできること」すなわち「自分の生きる道」を見出していく。
そのフラニーが、進むべき道を決めた時、社長もまた思うことがあった。
ミステリオに生きる者の役割・使命。何のためにミステリオに来たのか。第4部の最後、ウラディエナに語りかけた言葉を彷彿とさせる。このイベントより前、メインストーリー等でも言及されていたテーマである。それが今一度、このイベントで言及されたことの意味は小さくなかったと思う。
フラニーの歩む道が異なると、それに応じてニュアンスも変わる。しかし、「自分が何のために生きるのか」に答えを見出していることに変わりはない。騎士道を見出すにせよ、「ただのフラニー」であることに意義を見出すにせよ、陰魔法という自らにのみできることを究めようと志したにせよ、フラニーは自分の存在意義を見出した。
そして、フラニーにとっての転機となり、居場所となったのが作中の傭兵会社である。フラニーと関わった人々にとっても、彼女の存在は何かしらのきっかけとなった。このシリーズの最初に述べた転機・居場所としての傭兵会社という主題もまた活かされていたと言えよう。
惜しむらくは、フラニーと彼女の存在が大きく関わることになったであろう第4部教国編がダイジェスト展開になってしまったことである。致し方ないとはいえ、画竜点睛を欠くと言うのは些か手厳しいかもしれない。しかし、それ程までに勿体ないと思ったのである。
幕間
――とここまでの話を聞いて、冒頭の下りとの齟齬を感じた方もいるだろう。いや待てリリスは十分以上出番はあっただろう。フラニーだって、丸々一つのイベントを使って掘り下げていただろう。これ以上望むとか欲張りか?とお叱りを受けかねない。釈明というわけではないが、リリスやフラニーの話はいわばこの次にする話の前口上につながるのだ。
リリスは2020年実装のキャラで、その年の12月のクリスマスイベントで別verが来た。特に2020年辺りのかんぱにのイベントでは、大紀行で実装された☆5(黒封筒)キャラたちの別verが数多く実装された。リリスもその流れを汲んでいるが、別verの速さから見ておそらく実装時の人気とかも考慮されていたのではないか、と思う。
この振り返りシリーズの最初の方に「EX社員・衣装社員の功罪」「ミステリオ大紀行の功罪」という話をした。要は、キャラの出番確保・シナリオや世界観の掘り下げ・今後の布石という功の面と、限定キャラ乱発・偏重や過剰なインフレ(単に戦力的な意味にとどまらない)という罪の面があったという話である。そしてこの2つは表裏一体的なものであり、究極的には「その状態で出番があるキャラ/出番がないキャラの格差」を生んでいた。
例えば、2020年のクリスマスイベントは、☆5は大紀行組の中から、リリスの他にイスレ、ミラーカ、アセナが、☆4では恒常のファティスとリルアが登場した。前後のイベントを鑑みて、概ね☆5は大紀行組が、☆4は恒常組が選ばれる傾向にあった(もちろん2021年バレンタインのホリーのように恒常組から選ばれたパターンもある)。
全てはサービス終了故の悲劇と言えるかもしれない。だが、例えばサ終までに限定キャラ(EX社員・衣装社員)という形で出番があるなり、そうでなくても出番自体はあったキャラと、いつかきっと来るはずだった出番が結局来ないまま終わったキャラとの間には、どうしようもない格差がある。
上にある画像は、あくまで私が試みに挙げたキャラである。ユーザーにとっては「このキャラが……」という思いがあるだろう。それと似たような思いを大なり小なり抱えていた人は多かったと思う。
ここまでの振り返りにおいては個別に取り上げたキャラクターもいた。リド(エレナ)、イーヴァ、ティナ、アルモニカ、ヴェルグ、アレンカ。今回のカタリナ、リリス、フラニー。キャラ毎に出番や扱いに差はあった。シナリオ上の役割や見せ場が一通り描かれたキャラもいれば、まだこれからなキャラもいた。
そもそも結晶社員のように周年記念の目玉として実装されつつも、メインストーリー内での登場以前にサ終を迎えるという、扱いだけ見れば不遇極まりないキャラすらいた。
自分は最初にパイを開放、次にティクルを開放。3人目にファロス、そして4人目にユィアと来たところでサ終の報に接した。残り二人のクスィとジヴは開放すらできなかった。
上記のように比較的育てていたこの二人すら、まだまだ育成途中だった。折角キャラクター面ではユーザーから好評だったのに、メインシナリオ未登場前にサービス終了は痛恨の極みである。
あるいは先程挙げたサーガのように、出番だけ見れば他キャラよりも遥かに多かったものの、メインストーリー・キャラクター設定との関係で言えば、いわば本番がまだ来る前にサービス終了に至ったキャラもいた。
EXサーガのキャラストーリーでは、”もし第二部の王国対公国の決戦が、公国の勝利に終わったら”から始まる本編の並行世界が描かれていた。レマルギア公爵による覇道とミステリオ・隣接次元の(意思)統一は、結末こそウラディエナの打倒に至るものの、覇道によって著しく高まったミステリオと隣接次元のディメンション・ドライブは異世界の魔物を際限なく呼び寄せることとなる。レマルギア公爵の覇道、そして異世界の魔物との終わらない戦いでミステリオは荒廃の一途を辿る――ところで物語は終わる。
この並行世界は個人的に興味深い点が多かった。例えば、ローズ・ユディタ・ホリーらが本編でいう第二部以降の時系列で出てこないこと、モニク・社長含め傭兵会社の面々も然り。まずこれは間違いなく意味があると思う。
これ以外だと。諸々の都合かもしれないが、例えばトゥバーン関係者ではクウェスは登場していない(=ジークリットとも関わらない?)。ルナエントの人々、魔郷・精霊郷・神威ら隣接次元もレマルギア公爵と協力体制に入ったことは語られるも、具体的なキャラは出てこない。クロムウェル研究所関係者では、リドは出てくるが(平行世界での)最終決戦時の姿は転職時のアーチャーの姿で円卓騎士として復帰していない様子だし、リィンも出てきていない。エリィに至っては、セフィロートを巡る公国との戦いでショウ・フジヤマやカナハ、クィンらと共に公国と敵対している。
EXサーガのストーリー内の平行世界で出てこなかった人、本編とは違う選択をしたり立ち位置になったと思わしきキャラに関して、本編の行く末と照らし合わせると興味深いものがあったのではないか。そう思っただけに、本編第4部がサ終により十分な形で知ることができないのは残念だ。
ただまぁ、上述の差異が生じたことの理由について、直接的な答えはEXサーガのキャラストーリー内でも示されていたと思うし、わざわざ言う必要もないだろう。
まぁそれはそれとして。
やっていることはほぼ同じ(※印象には個人差があります)なのに、サーガとリディどうしてここまで差がつくのか……。
ともあれ、リリスとフラニーの項目はいわばこの幕間で述べたことと裏表を成す。必ずしも全てが円満とは言えない形になった以上、明暗が分かれるのは当然かもしれない。しかし、それでも忸怩たる思いはある。
おわりに
長かったかんぱに☆ガールズの振り返りも、これでそろそろ終わりになる……はず。前回はクリスマス・バレンタインのスクショでも貼ろうかという趣旨のことを述べた記憶がある。そちらについては今回色々考えた結果、一部に言及するのみとした。この積み残しはいつかまたかんぱに☆ガールズについて語る機会が来たときのために敢えて残した、ということにする。
冒頭で述べた通り、私の言いたいことは既に過去の回でほとんど述べた。故に、これ以上蛇足をするつもりはない。ただ、二点ほど敢えて付け加えるべきと思ったことがある。
1つ目。あと数年で30代になる私にとって、かんぱに☆ガールズをプレイした時間は丁度20代半ばの時期に当たる。人生においては、”若者”から少しずつ離れていく時期。現実の方でも、たまたまの幸運や機会に恵まれたことで、比較的考えが落ち着くと言うか成熟した面が強い時期だった。これも偶然だが、かんぱに☆ガールズのメインテーマとも言うべき要素に刺激を受け年々好意的になっていった面もあったと思う(昔好きだった本・ゲーム・映画に触れたら驚くほど楽しめなかった、価値観との違いから好悪が一転した――そんなことも珍しくないのだから、これは僥倖なのだろう)。
その理由は卵が先なのか鳥が先なのか――つまり上述のテーマに私が感応して影響を受けたのか、それとも元から私が個人的に近い考えを抱いていたor懐きつつあったから、いわばゲームの方に共鳴するなりしたのか。答えはどちらでもあるのだと思う。元から抱いていた考えの明確化というのは、そういうものだ。
もう一つ。これを書いているときには、未だせいぜい30年も生きていない己だが、そんな自分も未完の作品とか、必ずしも円満ではない終わり方に接することは多少ある。それは此度のようにサ終だったり、作者急逝で未完のままとか、「不本意な形での終了」には覚えがある。
正直に言えば、時折そういったものに対する「別の終わり方や展開だったらよかった」とか「あの続きを見たい・知りたい」という思いが、泡のように浮かんでは消えていくタイミングがある。
これはもう避けようがない。できるのは精々、忘れないようにすること、そして何かしら次のことに目を向けるなり、(それが難しくとも)別のものを探そうと努めることくらい。例えばそれが最善とは行かなくとも、時折思い出したとき、「残念なこともたくさんあったが、それでも巡り合ったことは幸運・幸福だった」と思えるのが次善である、と思う。
未完のままの名作か、曲がりなりにも終わらせることのどちらが良いか。あまりその違いを云々するしても仕方ない。しかし、それでも私は後者であったことに安堵しているのも確か。そういう意味では、未練は消えないにしても、「終わらせることはできた」かんぱには幸福だったのだろう。
全4回に渡るかんぱに☆ガールズの振り返りは、ひとまずこれをもって終えることとする。未練がましいが、またいつか再開されるかもしれない。そのときはそのときとして、今はその1の最後に記した文章を再びここに掲げることで、跋文としよう。皆様、本当にお疲れさまでした。
最後に、運営・スタッフをはじめゲームに関わった皆様へ。かんぱに☆ガールズというゲームに出会えて幸運でした。ミステリオという世界、王国と公国の”戦争”、円卓騎士といった設定。王国・公国・教国・中立国・異民国・異世界といったマクロの話の中で生きる個人の意思が、世界を変えるきっかけになるという物語の柱。懐かしさを憶える群像劇と戦記物の香り。まじめな所も少しふざけた所も、自分は好きでした。約6年半続いたゲームのうち、自分が関わったのは大体3年半程でした。もっと長くプレイしていたつもりが、まだほんのそれだけしか経過していないことに驚きます。それでも今思えば、本当に全てが懐かしく、だからこそ辛く思います。本当にありがとうございました。
*1:動画サイトにアップロードするか悩んだが、Twitterにアップしたものを本ブログにリンクを貼るという形にした。公式からの削除要請等、問題があれば即座に削除いたします。
*2:
https://twitter.com/kanpani_staff/status/1239491959066066944